SNSの総フォロワー数は15万人。スキンケア好きが高じて「皮膚の変態」と名乗るようになったアパレル経営者の大野真理子さん。本業の傍ら自身のインスタグラムで行う「変態」ならではのコスメ論評に、美容業界関係者からも注目が集まっています。「真理子会議」と題するインスタライブには、美容だけでなくキャリア相談や恋バナも寄せられ、大野さんがホワイトボード片手に質問返しをする姿は、さながら経営会議のようだと話題沸騰。SNS発、今もっとも気になる美容家・大野真理子さんがリアルな美容を本音で語る連載の第11回目は、「後ろ姿にショックを受けて背中美容を始めた話」。
大野さんのこれまでの記事を読む→皮膚から始まる幸福論
自分の後ろ姿は見ない方が幸せ?
社員とランチを終えた帰り道。気の利くわが社のPRが
「真理子さん今日髪の毛めっちゃ綺麗だから動画撮りますね」
と言ってポケットからスマホを取り出し、後ろ姿を動画に納めてくれた。
PRという職業はとにかく気が利く。一緒にいる相手が思っている事の先の先まで想像し、気分よく過ごせるように尽力する。それも相手が気を遣わないように。
彼女たちは、日々そんな業務に邁進してくれているものだから、私にもこうして優しくしてくれるのだ。
帰社していくつかの打ち合わせを終えた頃、LINEに先ほどの動画を送ってもらった。
表参道の街並みと確かにサラリとまとまり良くなびく髪、しかしそれ以上に気になるのは自分の後ろ姿だ。
リブニットの下でブラジャーの上下にもたつく肉。
スカートのシルエットを微妙に壊す腰回りの厚み。

服屋ならせめて服は綺麗に着たい。そんな願いを込めて体型管理も頑張ってきたつもりだったが、背中までは及んでいなかったのか。
SNSには載せない私の苦悩やストレスが全部背中に乗っかって、これでもかと年齢を表現している。
何十年も椅子の背もたれとぶつかってきた場所には、数センチの色素沈着も見えて思わず「ひぃっ」と声を出したくなる。
皆さんは自分の後ろ姿を動画で、いや写真でもいい、見たことがありますか?
正面からの自分は、デパートの試着室や女子会の集合写真で見慣れたもの。
姿勢を正し、腹をへこませ、少し体を横に振って、顎を斜め20度上にあげる。
どの角度が一番痩せて見えてフェイスラインが綺麗に見えるか、大体の人が熟知しているだろう。自分対比であるが、ベストな状態。それがiPhoneに納まっているのだ。
一方で、後ろ姿はほぼ確認することがない。いや確認しない方が幸せなのかもしれない。
女性にとって自分の後ろ姿なんてものは、彼氏の携帯ぐらい見ない方がいい場所だ。
見ていいことなんて一つもない。現実は時に残酷で知らない方がいいこともある。
それでも繰り返し申し上げますが一応、私も美容系のはしくれなのでやはり手入れを始めなければならない、と重い腰を上げ背中美容をスタートした。