「レジリエンス」とは「困難を乗り越える力」のことを指す。生きていく上で正解がないことばかりで、問題や困難があるのは当然のこと。そこで心折れず、乗り越えていくことは最も重要な力の一つだと、成田奈緒子医師と山中伸弥教授が共著『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』でも語っている。

しかし、時には親が子どものレジリエンスを邪魔するような子育てにも遭遇するという。特に高学歴偏重の親にみられる実例をベースにまとめたのが、成田奈緒子医師の『高学歴親という病』だ。

本書より特別抜粋掲載をする2回目前編「「神童」家族が崩壊…医学部・弁護士・五輪、高学歴親「リベンジ型子育て」の恐怖」では、医師や弁護士、五輪など、親が目指していて挫折したような高い目標値を子どもに目指させる「リベンジ育児」の弊害をお伝えした。「自分だけの力で結果を出さなければ価値がない」とすら感じさせてしまうリベンジ育児は、まさにレジリエンスを低下させかねないという。

後編では「お金」をキーワードに、その理由をお伝えする。

 

金銭感覚がズレている高学歴親の実例

米国では、子どもの誕生日に祖父母などの親族が株を買ってあげる慣習があります。よって、子どもにとって投資は身近なものです。お金を自分の力で増やしていくことなど、早くから経済教育を受けます。そうやって金銭感覚が養われていくため、大学に行きたい高校生は自分で奨学金を獲得すべく良い成績を取ろうと必死です。

自分が学びたいことのために奨学金を獲得する、お金を節約する。それでも学びたい。そういう学生の多くは学びの時間を無駄にはしない Photo by iStock

一方、日本の子どもは「お金はほしいときにほしいだけ親からもらう」「大学は親が行けというから行くけど、特にこれを勉強したいというものはない」などと平気で発言します。塾代や習い事にかかる費用など、月に数万円ものお金を親に払ってもらっている自覚はまったくありません。わがまま勝手に「今日は行きたくないから休む」と言ってしまう子どもは、その習い事1回分の料金を稼ぐための労働がいかほどのものか理解しているようには見えません

こうなってしまうのは、お金の有り難み、つまり「お金の価値」を、親が子どもに叩き込んでいない、それをやる煩わしさを避けているからです。にもかかわらず、なぜか「これだけ子どもにお金をかけているのだから、見返りとしていい大学・いい会社に入って高収入になってほしい」と期待しています。

この様子は、大きな歪みに映ります。子どもにお金の価値を理解させなくてはいけないのに、高学歴家庭では適切な経済教育をほどこさない傾向があります。親が高収入で金銭的に余裕があるからです。