小児科の医師の成田奈緒子さんは、神戸大学医学部の同級生だという山中伸弥教授が最も信用する研究者のひとりだ。ふたりの共著『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』では、おふたりの「育ってきた環境」も明らかにしながら、「レジリエンス=乗り越える力」が現代にとても大切であることも訴えていた。

神戸大学医学部の同級生だった山中伸弥教授と成田奈緒子さん 写真提供/成田奈緒子

そんな成田さんの最新刊『高学歴親という病』は、「レジリエンス」を育てるために、時に障壁となってしまうこともある「親の病」について綴った書籍だ。特に高学歴の親が「子どものため」にと起こす行動が与える深刻な影響を伝えている。本書より何回かにわたり抜粋掲載する第2回は、高学歴親子のレジリエンスが低い原因を探っていく。
前編ではその原因の顕著な例ともいえる「リベンジ子育て」の実例を伝える。

 

高学歴偏重親の「リベンジ型子育て」

子育てを、自分の人生に対するリベンジのようにとらえている人もいます。自分より良い学歴、良い人生をと願うあまりに干渉・矛盾・溺愛を続けます。親が子どもの人生を自分の生きがいにしてしまう。要するに依存するのです。これは、私が一番なってほしくないパターンです。

リベンジしたい親は子育てを焦るため、小さいころから塾に行かせるといった早期教育に走る傾向があります。最終ゴールとして「一流大学合格」を掲げ、子どものほうも頑張ってついてきて目標を達成した。その直後に意欲がガクンと落ちて大学に行けなくなる。もしくは卒業後に崩れてしまう。わが子が成人してから子育てのまずさにハッと気づく――こうなってしまう親御さんは少なくありません。

アイコさんは、娘が3歳のときから体操教室に通わせていました。小学校に上がると、1週間休みなく体操をやらせ、英会話、ピアノと、週に9コマも習い事をさせていました。その効果なのか、体操に限らずスポーツは何でもできました。学業成績もトップクラス。よくいわれる「神童」です。

運動神経抜群でピアノもでき、学業も優秀だった Photo by iStock

「器械体操でオリンピックに出る」

そんな目標を掲げていました。中高一貫校受験も希望校に難なく合格。その時点で、アイコさんの目標は「器械体操でオリンピックを目指しながら国立大学医学部合格」と、さらに具体的になりました。父親が医師でした。