ノーベル賞科学者・山中伸弥教授が「日本でいちばん信頼している」小児脳科学者である成田奈緒子氏の新刊『高学歴親という病』が話題だ。
知力にも経済力にも恵まれているはずの高学歴親が、ひとたび子育てに迷うと泥沼にはまって抜け出せないケースを、成田氏は山のように見てきた。
なぜ、そんなことが起きるのか。
本書はその原因をデータと論理をもとに分析し、さらには解決するためのメソッド・処方箋まで提供している。今回は、本書でも重要なポイントとなる「心配から信頼へ」のグラフについて、成田氏に解説してもらおう。

赤ちゃんは親にとって「心配100%」の存在
子どもを対象とした精神心理疾患の外来診療を私が始めたのが1998年。そこからずっと、私のなかのキーワードは「不安」です。
それ以前から不安解消ホルモンであるセロトニンを専門とする研究者だったので、「不安な親はどうやって子育てをするのか」と親側にも注目していました。

すると、親たちは皆、先回りをして過度に世話を焼いていました。先回りをするのは、自分の子どもを信頼していないからです。
ちょうど99年に娘を産んだ私は、赤ちゃんに対する親たちの不安を身をもって知りました。さわったら壊れそうなぐらい小さなからだです。
息をしているのかしていないのか、聴診器を当てようかと思うくらいわかりづらい。心配するばかりの毎日です。
親である私の子どもに対する気持ちは、その100%が「心配」です。私にとって娘の存在は心配の塊でした。
子育てって、最初は不安なのは当たり前だなあと実感しました。