ノーベル賞科学者・山中伸弥教授が「日本でいちばん信頼している」小児脳科学者である成田奈緒子氏の新刊『高学歴親という病』が話題だ。
知力にも経済力にも恵まれているはずの高学歴親が、ひとたび子育てに迷うと泥沼にはまって抜け出せないケースを、成田氏は山のように見てきた。
なぜ、そんなことが起きるのか。
本書はその原因をデータと論理をもとに分析し、さらには解決するためのメソッド・処方箋まで提供している。今回は、本書でも重要なポイントとなる「心配から信頼へ」のグラフについて、成田氏に解説してもらおう。
前編<山中伸弥教授イチオシの小児脳科学者が提唱する新説「子育ては心配100%を信頼100%に変えていく旅」>から引き続き解説。
「小4クライシス」に気をつけよ
親が子どもを信頼できないのは、親だけの問題ではありません。
現代の親子が生きる社会に目を向けてみましょう。
学校も社会もミスを許さない。自己責任と言われる。失敗したり、つまずいたら、やり直しがきかない。

そんな社会で生きるプレッシャーが背景にあります。そんな空気の中で親子は生きています。不安でいっぱいです。
だからといって、まだ脳が育ちきっていない子どもを、習い事や塾、スポーツ漬けにしてはいけません。
心配と信頼の両方がフィフティ・フィフティになる小学4年生(グラフ「心配から信頼へ」10歳)で、一度子育てを見つめ直してほしいものです。心配ばかりで信頼できない高学歴親が「干渉・矛盾・溺愛」を続けてしまうと、後々手痛いブーメランが返ってくる可能性が高まります。
いわば、目に見えない危機「小4クライシス」です。ここがひとつの分かれ道になります。
5年生から6年生は小学校高学年となり、先生たちから「お兄さん・お姉さん」として扱われます。児童会や委員会、運動会など校内行事でリーダーシップを執る場面も増えてきます。リーダーにならない子どもも同学年としてリーダーたちを支える空気が生まれます。学校のなかで信頼される集団になります。