2023.01.28

【競艇界の5000万円事件】八百長集団の「完全犯罪」が崩れ去った「致命的なミス」とは

前の記事『【内部資料入手】「競艇八百長で大儲け」した6人組グループの手口をいま明らかにする』では、2022年10月27日下関第10レースで起きた不可解な投票を例に、競艇八百長は組織ぐるみの犯行である可能性が高いことを指摘した。しかし、犯行グループはある致命的なミスを侵していた。

「あまりに稚拙」な投票の仕方

今回問題となった下関第10レースでは、不自然な「オッズの歪み」を指摘する声がSNS上に多数、確認された。

舟券発売直後から1を外した組み合わせすべてが「均等に安い」という奇妙な現象は、露骨なイン切りを示すものであり、深読みするファンの間では「もし八百長をするとしたら、ここまであからさまな買い方をするはずがない」と、不正を疑問視する声も上がったほどである。

件のレースの確定画面件のレースの確定画面
 

だが、今回異常投票に関わったA~Fは、それほど競艇に詳しくなかった可能性が高い。競艇の一般戦で投票締切15分以上前に大口投票すれば、オッズが大きく歪み、異変を察知されることに思いが至らなかったのではないか。その根拠となるのが3連単の買い目である。

今回、A~Fが購入した3連単は、23456の「5艇ボックス」(60通り)だったと見られる。要は「1さえ4着以下になれば全部当たり」という舟券である。

6艇が出走する競艇において、3連単の組み合わせは全部で120通りとなる。6艇のうち、1艇を外した3連単をすべて購入する場合は半分の60通りだ。

A~Fの的中額と払い戻し金額を見ると、表の「舟券3」「舟券4」は、的中額が購入額のちょうど60分の1となっている。また「舟券1」も60分の1に近い。

犯行グループの投票と払戻金の一覧犯行グループの投票と払戻金の一覧
 

ここから推測できることは「競艇はよく分からないが、1だけは絶対に来ないと聞いているので、それ以外を全部、同金額で買っとけ」という雑な思考である。それが「23456の5艇ボックスをドカンと買う」という投票行為につながったのだろう。

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