2023.01.26
「最近の若い教師は雑務が多すぎる」…安倍晋三を裏で操ったJR東海の天皇・葛西敬之の教育観
「葛西敬之?そんなたいして有名でもない企業経営者が、日本を牛耳ってたなんて、そんなわけないだろう」
本書を読む前は、多くの人がそう思うようだ。森功著『国商 最後のフィクサー葛西敬之』では、一企業経営者にすぎない葛西氏が、官邸の人事を牛耳り、霞が関と内通して政策に口を出し、はてはNHKの会長選びに介入してマスコミを支配する姿までが描かれる。 『国商 最後のフィクサー葛西敬之』連載第12回(5)
国語教師の父に叩き込まれた漢文の素養
葛西を東京出身と紹介してきた報道も少なくないが、本人は1940年10月、兵庫県明石市に生まれた。
教育に対する葛西の強い思いは、明石中学の国語教師だった父親順夫(のぶお)の影響が大きいようだ。父の教えで幼い頃から漢文に接してきたという。
しばしば史記を引いてものごとを語るのも、その一例であろう。07年2月22日の教育再生会議の第7回会合では、実父に触れてこう話している。
「私の父親は国語の教員でありました。生徒に教え、自分も勉強する。実にゆとりのある暮らしでしたが、最近の若い先生たちを見ると雑務が多すぎる。生徒に説明する資料づくりに追われて、土曜日や夏休みにも学校に出ています。それで、教育そのもののために考え、あるいは努力をする時間が少なくなっています。一見すると、極めて現場の低次元の話のようですが、本当はそこを変えることがものすごく大切なのではないかと思います」