2023.01.25
# 野球

【悼む】「不惑の大砲」門田博光が《野球人生最大の危機》から全打席ホームランを狙うようになった理由

1月24日、南海にて長らく主砲として活躍し、王貞治、野村克也に次ぐ通算567本もの塁打を放った門田博光氏が亡くなっていたことがわかった。2022年に行われたインタビューにて、「不惑の大砲」は何を語ったのか。「週刊現代」2022年7月16日号より、彼の言葉をもう一度お届けする。

前編『【追悼】門田博光さん2022年インタビュー「小6で母が他界、野球の間だけは辛いことを全部忘れられた」』では、幼い頃に母や姉を亡くし苦労市ながらも野球に打ち込んだこと、高校や就職を経てプロ野球の世界に這い上がった経緯を語ってくれた人生の前半を紹介した。

「危機」にものの見方を変えてくれた『菜根譚』

僕のプロ生活は前半と後半ではっきり結果が分かれます。前半の約10年はホームランを打ちたいのに数が伸びなかった。

2年目に31本を打ったけど、翌年からは14、18、27、19、22、25、15本。打撃がわからなくなっていた、そんな時に野球人生最大の危機に襲われました。右足アキレス腱の断裂です。

'79年2月、高知県中村市で行っていた春季キャンプ。アップ中に左足を高く蹴り上げた瞬間、バチンッとそこら中に聞こえる音が響いて、病院に運びこまれました。アキレス腱断裂と知って、これでユニフォームを脱ぐのか、野球を辞めて何をしたら……と途方に暮れました。

家のローンやまだ小さかった2人の子どものことが浮かんで頭が真っ白になりました。でも、このアクシデントが第二の門田を作ってくれたのです。

門田博光さん 撮影:谷上史朗

ファンの方から2冊の本が届きました。1冊は宮本武蔵の『五輪書』。もう1冊は中国の古典で処生訓などを説いた『菜根譚』。『五輪書』は僕も勝負師の世界で戦っていたから武蔵の言わんとすることがよくわかった。その分、この本はもういいな、と思ったんです。

 

でも、『菜根譚』は、僕とは違う世界の理論なので面白くて仕方がない。自然の理、神仏の教え……。一気に読み進めるうちに、また違う野球ができるんじゃないかという気持ちになりました。

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