放送終了後、SNSがドラマの内容だけでなく盛り上がるドラマがある。それは、『忍者に結婚は難しい』(フジテレビ系木22:00~)だ。

この作品は、無神経で人任せな夫に対する、完璧主義な妻の怒りも描いている。主要な登場人物は薬剤師をしている草刈蛍(菜々緒)と郵便局員の悟郎(鈴木伸之)。2人は結婚2年半の夫婦だ。当初はラブラブでも、現在は生活習慣や価値観の違いから言い争うようになり、すでに離婚の危機に直面。

実は、蛍と悟郎はお互いに明かせない“裏の顔”がある。蛍は甲賀忍者、悟郎は伊賀忍者なのだ。戦国時代より歴史の裏舞台で敵対を続けてきたライバルの末裔同士が気付かずに結婚してしまったのだ。そして現代の今、野党側の甲賀忍者、与党側の伊賀忍者、というなかなかリアルな設定にもなっている。同名の原作は『ルパンの娘』や『K2 池袋署刑事課 神崎・黒木』などで「ユーモア小説の魔術師」と異名をとる小説家・横関大さんによるもの。

さて、初回が放送されるとすぐに、「#忍者に結婚は難しい」のハッシュタグとともに、鈴木伸之さん演じるダメ夫に対し、Twitter上で多くの強烈な批判があげられた。そして2話、3話と続く中、「夫婦間の秘密ってバレたらどうするか、だよね」などと「秘密を持つ夫婦」に対しても注目が集まっている。

確かに秘密がまったくない夫婦というのはないのではないか。重要なのは、秘密がバレた時。そこから夫婦が継続できるか、もしくは分裂するかが決まってしまうことも……。

『貧困女子のリアル』『不倫女子のリアル』『沼にはまる人々』などの著書を持つ沢木文さんは、年間100組以上の夫婦を取材し、様々な夫婦の形も見ている。。そんな沢木さんに「不倫よりも家庭を破綻させうる秘密事」について紹介していただく。

以下、沢木さんの解説です。

 

夫婦の秘密は不和をもたらす

『忍者に結婚は難しい』は、傍若無人な夫・悟郎(鈴木伸之)の態度に妻・蛍(菜々緒)が心の底で失望し、激怒するという話でスタート。しかし、回を追うごとに、「夫婦で“互いが忍者である”という秘密を抱えていること」の問題点が浮き彫りになっていきます。
夫婦間の秘密は不和をもたらします。私は不倫経験者を取材することが多いのですが、不倫が不和をもたらすのは、隠し事をするからなのだと強く感じます。

配偶者とは別の人と性行為をする。配偶者が気付かないことに安堵すると同時に、相手を見下すようになる。これを繰り返すうちに、違和感が家庭内に充満し、やがて爆発します。
『忍者に結婚は難しい』では、お互いに「本当の職業」を隠しています。他にも、前出の不倫、性癖、依存、異性の友人、ヲタ活最優先人生など、さまざまな隠し事をしている夫婦は多く、そして私がこれまでに会って来た膨大な方々は一様にうまくいっていません。

相手を尊敬していたら、軽んじる行動はできないはずだが…Photo by iStock

なぜなら、隠し事をするのは、相手を信頼していないからなのです。不信は自己肯定感の低下に直結しています。また、寝食をともにする生活で隠し事をし続けることは難しい。言葉にしなくとも、態度や仕草は雄弁に状況を語ります。とはいえ、自分さえも思い出したくない過去の秘密は打ち明ける必要はありません。大切なのは「現在」なのです。