一緒に住んでいるのに孤独――高学歴夫婦の不仲が子供の未来を台無しにする理由

高学歴親という病(5)後編

ノーベル賞科学者・山中伸弥教授が「いちばん信頼している」小児脳科学者・成田奈緒子医師の新著『高学歴親という病』がネットを中心に話題沸騰している。
知的にも経済的にも恵まれているケースが多い高学歴親が、なぜ「子育てのジレンマ」に陥って抜け出せなくなるのか。
同書は豊富な実例を示しながら、データと論理によって分析し、そこから抜け出す的確な処方箋までを提示している。
前編プライドが高い人は要注意!高学歴なのに子育てに失敗する親の共通点は「完璧主義」と「虚栄心」だった>から引き続き解説。

高学歴親はなぜ「孤独」に陥るのか

高学歴親が子どもを信頼できない理由に、親の完璧主義と虚栄心を挙げました。

3つめの理由は「孤独」「孤立」です。

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高学歴親は世間体を人一倍気にするので、他者に弱みを見せたくありません。そうなると、周囲に相談できず孤独になりやすい。そのため、新しい情報や学びを獲得する機会も得られないのです。

そのうえ高学歴親のなかには、高度に専門化された職業に就いている方が多くいます。

医師、弁護士、研究者、マスコミ関係、金融、公務員、教育、IT関係等々。皆さん、専門的です。

これら高学歴集団は、同じ苦しみを分かち合って支え合う「ピアサポート」の観点で見ると、仲間を作りづらい環境のようです。

ママ友という子育て仲間が作りやすそうなお母さんたちでさえ、高学歴になると職場で同じ子育て仲間、悩みを分かち合ったり、共感できたり、情報交換できる仲間は得づらいようです。

彼女たちが子どもの学校で仲間作りができるかといえば、プライドの高さや話が合う合わないなどさまざまなハードルがあるようです。

実際に、私のところに来る高学歴のお母さんたちに聞くと、やはりママ友がいません。

ピアサポートはある程度必要なのですが、それがないためにご自分のとても狭い世界で、しかも少子化なのでひとりっ子か、2人くらいしかいないわが子だけと向き合って子育てせざるを得ません。

  • 『成熟とともに限りある時を生きる』ドミニック・ローホー
  • 『世界で最初に飢えるのは日本』鈴木宣弘
  • 『志望校選びの参考書』矢野耕平
  • 『魚は数をかぞえられるか』バターワース
  • 『神々の復讐』中山茂大