ドラマや映画、舞台などで幅広く活躍している吉田 羊さんは、2022年に俳優デビュー25周年を迎えました。その節目の年に、吉田さんにとって初となる単行本を上梓。その特別な一冊は、2015年から約8年、グルメ雑誌『おとなの週末』で連載している「ヒツジメシ」の約90回にわたる記事を加筆修正し、撮り下ろしカットもおさめた、同名タイトルのグルメエッセイ。
本書では、「小さい頃から食い意地だけは張っていた」と自身を“食に貪欲”という吉田さんが、これまでに楽しんだ料理と時間を追体験でき、吉田さんの原点ともいえる母の味や故郷・久留米の思い出の味、下積み時代のエピソードなどをたっぷり綴っています。単なる美味しかった料理の食レポにとどまらず、吉田さんの人となりも垣間見え、グルメガイドとしてはもちろん、読み物としても楽しめます。
今回は、小学生の頃に食物アレルギーを持っていたこともあり、卵にはこだわりがあるという吉田さんが、「美味しい!」と絶賛する卵料理の名店を『ヒツジメシ』(講談社ビーシー/講談社)より抜粋してご紹介します。
ゆで卵を食べた瞬間、顔に蕁麻疹を発症
みなさまはアレルギーありますか?
羊は小学生の頃、卵と牛乳アレルギーでした。あの頃は、食物アレルギーというものへの社会的認識がまだまだ低く、食べ物を残すとしこたま怒られる時代。私も例外ではなく、いつも給食は居残りで、目をぎゅっと瞑って鼻をつまみながら牛乳を飲んでいたように記憶しています。
そんなある日、ゆで卵を飲み込んだ瞬間、顔じゅうに蕁麻疹を発症。身体にも転移してあちこちが発疹でぼっこぼこになって初めて、先生がこれは食べさせたらあかんやつと気付いた。
それからは、卵と牛乳が私の目の前に供されることはありませんでしたが、身体の成長とともに細胞も変化するのか、中学校に上がった頃には、気付けば食べられるようになっていた私。今や、卵は我が家の必需品。乳はと言えば、牛乳の代わりに豆乳で育ったので今も豆乳>牛乳ですが、チーズやヨーグルトなどの乳製品は好物というわがままボディに仕上がりました。

しかし卵料理ならなんでもありというわけではありません。玉子焼きやスクランブルエッグ、オムレツ、TKGなど、黄身と白身がぐちゃぐちゃになっているものは大丈夫なのですが、目玉焼きやゆで卵など、両者が分離しているものは今でも得意ではなく、でも、香りの強い燻製玉子や味付け玉子はOK。どないやねん!(と自分でツッコんでおく)