5歳の娘と3歳の息子を育てながら、「笑い」と「涙」をテーマにした子育て漫画をブログやインスタグラムで発信している漫画家・イラストレーターのはなゆいさんが描いている『川崎病 手遅れになりかけた話』が話題を集めている。

娘さんが2歳のときに謎の発熱が続き、病院を受診しても「風邪」や小さな子どもにありがちな発熱と診断され続けてしまう。しかし、一向に下がらない熱。娘さんは熱でぐったりし、病院に通い続けケアし続けるはなゆいさんは心身ともに疲労していく……。最終的に、『不全型の川崎病』と診断され、入院治療することに……! そのいきさつをはなゆいさんは漫画で丁寧に伝えている。

小さな子どもはすぐに発熱する。「いつもの風邪」と思っていたものが、別の病気や、危険な感染症というケースもある。新型コロナウイルスやインフルエンザなども流行する中、「川崎病」含めて、小さな子どもの発熱をどう考えるかを、新生児科医・小児科医の今西洋介医師にQ&Aで答えていただいた。

 

どうして子どもはすぐに発熱するの?

子どもが発熱すると「うちの子は体が弱いの?」と心配される方がいます。発熱しやすい=体が弱い、というわけではありません。子どもが発熱しやすいのには、大きくわけて2つの理由があります。

ひとつは、小さな子どもは体温調節が未熟です。大人の平熱は36度台の方が多いですが、子どもは37度を超えることも少なくありません。外気温など環境要因も影響すしやすいため、暑い夏や夢中になって動き回ったり、厚着などをして体温調節が妨げられたりすると、熱が上がってしまうということもあります。38度ぐらい出てしまうという子どももいます。この発熱の幅に関しては個人差があります。

子どもは大人よりもに発熱しやすい。photo/iStock

もうひとつは、ウイルスや細菌などによる発熱です。子どもは大人に比べると免疫がついていないため、さまざまな感染症にかかりやすい状態にあります。赤ちゃんは生まれてからすぐにさまざまウイルスにさらされます。でも、生後3ヵ月ぐらいまでは胎児だった頃にお母さんからもらった「免疫」で守られているため、発熱することはあまり多くありません。そのあとは、母体由来の免疫の効果がなくなっていくので、赤ちゃんはさまざまな感染症に罹患しながら、一度罹った病気の情報を記憶し、次に侵入「獲得免疫」を自ら身に着けていきます。

そして、感染症の病原体(ウイルス)が入ってくると、体はウイルスと闘うために発熱します。子どもがよく熱を出すのは、体が弱いということよりもウイルスにさらされる機会が多いということです。でも、それは悪いことではなく、そうやって免疫を獲得しながらウイルスに負けない体を獲得するためでもあるのです。