解熱剤を使って熱はできるだけ下げたほうがいいの?
そもそも熱が上がるというのは、体内でウイルスや細菌が戦っているからです。発熱は体の正常な反応でもあります。発熱するとゾクゾクと寒くなったり、発汗するほど熱くなったりします。子どもが風邪をひくと温めねばと、厚着をさせて布団をたくさんかけなくては……、と思いがちですが、これはゾクゾクとしているときの対応です。体が熱いときに厚着になると体に熱がこもり、逆に苦しくなってしまうことも。子どもは体の体温調節が未発達で、すぐに暑苦しくなってしまうので、上手に体温調節してあげてください。
また、解熱剤ですが、目安として「つらかったら使う」というのがいいでしょう。発熱していても元気そうなら次第に熱は下がるので大丈夫です。眠れずつらそうなら解熱剤を使ったり、かかりつけ医を受診して対応してください。
ワクチンより自然に感染したほうが症状は軽い?
子どもの発熱の多くは、感染症由来のものなので、保育園に通園し始めたり、きょうだいがいたりすると感染しやすくなります。風邪などもそうですが、こうやって少しずつ自然感染して、一度罹った病気の情報を体が記録して、次にウイルスや細菌が侵入したときに対応する「獲得免疫」を身に着けていきます。
このような説明をすると、「じゃぁ、さまざまな感染症に自然に感染したほうがいいんだ」と、思われ方もいます。本来、子どもを感染症から守るために、さまざまな予防接種があり、生後2ヵ月からスケジュールが組まれています。ですが、それを受けずに自然感染のほうがいい、と考える人もいて、SNSなどでは通称「はしか(麻しん)パーティ」「水ぼうそうパーティ」と呼ばれる自然感染パーティを開催を呼びかけるメッセージと遭遇することがあります。これは日本だけでなく海外にも存在します。パーティの内訳としては、感染している子どもを呼んで接触させ、感染させるというものだそうです。
欧米でも日本でもこういった感染パーティーの危険性を医師たちが発信しています。感染症の自然感染には必ずリスクがあります。中でも問題なのは、重篤化しやすいということです。私たち人間は、ワクチンがなかった時代多くの人が無防備に感染症に感染し、命を落としていました。ワクチンは、重症化や合併症のリスクを抑えつつ、免疫を獲得できるという大きなメリットがあります。接種後に副反応が出ることもありますが、自然感染で起こるリスクよりも小さなものです。副反応で子どもの予防接種を受けないという選択はとても危険だと思っています。
無防備に自然感染することはとても危険なことです。はしか(麻しん)などは感染力がとても強く、患者1000人に1人の割合で脳炎が発症すると言われ、死亡する割合も、先進国であっても1000人に1人と言われています(※2)。昔は「はしかの命定め」と言われたほど、死亡率が高かったのです。
恐れすぎることはありませんが、発熱も感染症も正しい知識をキャッチアップして、冷静に対応することが大事なのです。
こちらには発熱含めて、「子育てのわからない」を今西医師はじめ、12人の専門家が医学的に解説。『新生児科医・小児科医ふらいと先生の 子育て「これってほんと?」答えます』(西東社)