2023.02.02
私立の医大・医学部合格者は大半が「補欠合格」…「正規合格」とは何が違う?
『東京医大「不正入試」事件』で文科省キャリアに有罪判決が下った根拠の一つが、東京医大入試において実力で合格できる点数を取っていた息子に、大学側が一方的に10点を加算したことで補欠繰り上げ合格から正規合格になった事実だった。同じ合格でも補欠と正規は何が違うのか?
東京医大「不正入試」事件で分かった医学部入試のリアル(2)
241人に合格を出して、入学したのは120人

厚労省が大学医学部の定員数を制限しているため、一学年あたりの医学部生の人数は現在、国公私立に限らず120人前後に抑えられている。これでも15年前の07年度に比べると、少ないところで10人弱、多いところで50人増えているのだが、いずれにしても狭き門であることに変わりはない。
そこで医学部志望者はすべからく、自身の偏差値や親の経済力と相談しながら、国公立大医学部だけでなく、全国の私立大医学部を併願して、1月半ばから2月末にかけて、掛け持ちで数多くの大学を受験する。
その結果、私立大医学部では「正規合格者」のほか、大量の「補欠合格者」が生まれることになる。
正規合格者とは基本的に、1次試験と2次試験の点数を合計した成績が、その大学が定める一般入試の定員数の枠内で合格した受験生を指す。ただ、その人数は各私立大とも必ずしも定員どおりとは限らず、定員を上回る人数を正規合格とすることも多い。
今回の事件の舞台となった東京医大の、18年度入試の合格者数は、一般入試が正規合格者と補欠繰り上げ合格者を合わせて171人、一般公募推薦入試が20人、茨城、山梨の地域枠を設けた特別推薦入試が7人、それにセンター試験利用入試が43人の計241人で、最終的に入学したのは120人だった。