「今回OTC化が実現されなかったら、この国で子どもを産むのはやめようと思う」

最後にご紹介したいメッセージがある。今回プロジェクトでは、パブコメの記入に参考になる資料や周知に活用いただける画像など多数準備した。そのひとつに、『「パブコメ、なんて書きました?」投稿フォーム』がある。他の人の参考になればと、みなさんが送ったパブコメを集め、随時公開している。そこに頂いたものだ。

「同級生と「子どもを産んで育てていける気がしない」とよく話します。私たちは30歳になりました。現代で一番結婚し子どもを産む世代です。けれど実際の私たちは、子どもを産み育てることに前向きになれません。金銭面の問題、共働きで子どもを育てる困難さ、そもそも妊娠すること自体、上司や同僚から嫌な顔をされる現実。そして何より「この国で生まれることは子どもにとって幸せなのだろうか?」その思いが大きなハードルになっていると感じます。

少なくとも私は、今回の緊急避妊薬スイッチOTC化さえも実現されなければ、日本に絶望して、この国で子どもを産むのはやめようと思います。子どもにこの絶望的な国で生きて欲しくないからです。

性交同意年齢の問題、LGBTQ+の権利、選択的夫婦別姓、性教育の充実など、変えていかなければならない課題は山積みです。まずは、緊急避妊薬のスイッチOTC化を実現し、そこから緊急避妊薬の無償化(最低でも低価格化)という風に実現して行きましょう。過去は変えられませんが、今ここからは変えられます。子どもを産み育てるに値する国だということを私たちに示してください。」

心の底から同意する。

岸田文雄首相は「異次元の少子化対策」を行うと名言した。「産みたいと思える社会にする」ことは少子化対策としてとても重要な対策のひとつだ Photo by Getty Images

「自分のこころ、からだ、未来を守りたい」と必死になって大人にたどり着いた若者が、妊娠を防ぐ最後の砦へのアクセスを目の前で閉ざされた時、彼女たちが直面する絶望は、どれほどのものだろうか。自分は大切にされていて、守られていい存在だなんて、これっぽっちも思えるはずがない。やはり今の現状はもはや「社会からのネグレクト」だ。そんな社会に私自身生きたくないし、子どもたちにだって直面させたくない。

今回のパブリックコメントは、友人や所属するコミュニティでワークショップを開いたり、パブコメ記入の様子をインスタライブしたり、ラストスパートに向けて、盛り上がりが広がっている。それをするのは、ついに変わるかもしれない、変わってほしい、そう願うからこそだ。

今回上がった服用当事者や服用するかもしれない人たちの切実な声を、国はどうか握り潰さないでほしい。私たちにこれ以上絶望と無力感を刷り込まないでほしい。とはいえ、来年度、緊急避妊薬の調査に1000万円が計上されたとのこと。衝撃だ。お願いだから一刻も早くOTC化を実現し、他の国にいれば直面せずに済むであろう困難から解放してほしい「私のからだは、私のもの」、そう思える社会に近づけてほしい。

私のからだは、私のもの。そう感じることができるためには、社会が「私のからだ」を大切なものだと思っている実感が重要だ Photo by iStock