今も多くの人の心に深く刻まれ、輝き続ける伝説のロックシンガー
前編では、豊さん22歳、繁美さん20歳で結婚した後、
以下より、尾崎繁美さんのお話です。
「社会が求めるもの」と「自分が求めるもの」
この頃、豊にとって信じられるのは、
所属事務所との関係が行き詰まっているのに、事務所を辞めるには
その見えない時間に不安を抱くようになり、「外界からの邪魔や障害のない」「無人島に行って暮らしたい」というのが口癖になりまし
豊は自分の環境や周囲との不調和で満身創痍になり、
馬車馬のように次から次へとスケジュール入れられ、

現在開催されている『OZAKI 30』(角川武蔵野のミュージアム:〜2/5まで開催)で、豊が連載していた『月刊カドカワ』を見ることができます。『RED SHOES STORY』について、豊自身が解説した文章に触れることで、豊との日々を鮮明に思い出しました。『OZAKI 30』に行った時に偶然にも見つけ、私自身もとても驚きました。このタイミングで皆さまに共有できることも豊からのメッセージのような気がしています。
よくやってこられたぜ。まぁこれからも用心することだな。お互いに信用もなくしちまったってのによ。傷みなんて分け合えるわけねぇだろ……。金儲けさ、何もかもすべて……。
おいっ、おまえにはもう借りはねぇよな。いまさらうるせぇぜ。あぁそういえば俺の貸しがまだあったな。そいつは返してくれねぇか。
なぁ若さなんてよ、弱みみたいなもんさ。上手いこと言われるのは最初のうちだけさ。
悔しかったらおまえも人生ってやつをよくよく考えてみるんだな。
ひとつだけ教えてやるよ。成功ってのは運じゃない。だからといってひがんだってしょうがねぇだろう。上手くやるのさ。おまえの将来なんて俺には手に取るほどよく分かる。
精一杯生きるってことは時にはみじめなもんさ。それが笑い飛ばせるうちは、まだまだ尻の青いガキだ。まぁ俺もどこに行くのか分からないし、そんなこと今夜の酒しだい。次のゲームが待ってるんだ。
Love my Rock’n Roll
『RED SHOSE STORY』全曲解説より
『月刊カドカワ12月号』角川書店( 1990年12月1日発行)
その頃、私は彼の要求に応えることで、豊を苦しみから救いたい……そう思いながらも、その密度が次第に濃くなっていき、心身ともに疲れ切っていました。
でも、この自分の抱えている苦しみを「聴く人を癒す曲に昇華する」ことのできる豊には、それを凌駕するあらがえない魅力がありました。度を超えた束縛に戸惑う日々でしたが、「この人のためなら何でもしてあげたい」と愛する気持ちはどんどん深くなっていきました。