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使われない図書館が…10年間アフリカの村人と歩んだ元外交官が願う「活きる寄付」
2023.02.02

活きる寄付って? 前編

使われない図書館が…10年間アフリカの村人と歩んだ元外交官が願う「活きる寄付」

使われない図書館が…10年間アフリカの村人と歩んだ元外交官が願う「活きる寄付」 アフリカ・ガーナの村での原ゆかりさん 写真提供/原ゆかり 画像ギャラリーを見る→

寄付白書」2021によると、2020年の日本の寄付市場は1兆2126億円。過去10年でいえば、東日本大震災が起きた2011年の1兆182億円以降はじめて1兆を超えた。これを機に日本では12月を「寄付月間」として、寄付の啓発活動を行っている。また、2020年の寄付のうちふるさと納税が6725億円ということ、2011年の寄付人数が7026万人で、2020年が4352万人でありながらも合計金額が高額となったことを考えると、近年のクラウドファンディングやふるさと納税、社会的投資市場などにより「まとまった額の寄付をすること」も身近になっているといえるだろう。

Photo by iStock

「寄付」にはお金だけではなく、様々なジャンルがある。金銭、遺贈・相続財産、財産、寄付型クラウドファンディング、募金、特定寄付信託や生命保険信託といったお金の寄付、ボランディア・プロボノによる寄付、そして物品の寄付などだ。

では、「寄付される側」から見る「寄付をする側」とはどのような存在なのか。外務省から大学院のインターンを機にアフリカを訪れ、以降10年ガーナを中心にアフリカの村人たちと密接にかかわってきた原ゆかりさんが考える「活きる寄付」そして「寄付をする側の責任」をお伝えする。

アフリカの人に教わった「ラマダンの意味」

2012年の初夏、初めてアフリカを訪れました。大学院から派遣されたインターン先の勤務地は、西アフリカ・ガーナのボナイリ村。首都アクラから飛行機で1時間半、そこから車で1時間弱走った先にある人口約2000人の村。赤土の広がる緑豊かな土地に、土壁藁葺き屋根の民家が立ち並ぶ集落でした。

写真提供/原ゆかり

イスラム教が暮らしに浸透している村での生活を始めて少し経った頃、ラマダンが始まりました。日の出から日没にかけて飲食を行わない断食月です。みんなの生活や習慣、考え方や信条を理解したいと思い、私も初めての断食を経験させてもらいました。

始めるにあたり、村の人たちがラマダンの意味について教えてくれました。「飢えと渇きを実感し、施し合うことの意味を知る」一日中飲み食いできないことをその身をもって実感し、その苦しさに寄り添い共感する気持ちを育むための習慣だと教えてもらいました。1ヵ月のラマダンの後には犠牲祭が執り行われ、村人たちは一張羅を纏い、持てる者は牛やヤギなどを捌いて、或いはコメや砂糖などを人々に施し分け与えます。助けてもらった人々は、自分が持てる側になった時は恩送りすることで施し合いをつないでいくラマダンは、互いに支え合う生き方を忘れないための儀式だと学びました。

断食初日の日没後にみんなで分け合った白トウモロコシのお粥を、甘くありがたく感じたことをよく覚えています。

「寄付」について考えるとき、いつもまず思い出すのはこのことです。

断食をする意味は、飢えと渇きを認識し、 Photo by iStock
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