【前編・ロシアは到底勝てるとは思えない、米欧が考えるこの戦争の落とし所はこの辺り】で見てきたように、ウクライナ戦争は長期の消耗戦となる。この間、これまでの世界の秩序は崩壊してしまった。この戦争の先に見えてくる世界の対立構図はどのようなものになるのか。
ロシアがこの先、国力を回復することはない
このウクライナ戦争によって西側諸国はウクライナ支援に廻り、対ロシア制裁やロシア自身の戦略によって、世界的なエネルギー、穀物の需給バランスの混乱が起きている。それでは戦争が何らかの終息を迎えたとき、世界はそれ以前の状態に戻っていくのであろうか。それはないだろう。世界の分断は恐らく固定化する。そしてその要因となるのは、戦後のロシアのあり方であると考える。

長期的な視点に立つと、ロシアがこれから国力を回復する事があるとは思えないし、間違いなく衰退の道を歩んでいくことになる。
だが、問題はそれが急速なものか、なだらかなものかなのだが、制裁をかけている西側は急速な衰退を期待したが、その点では中国がエネルギーや食料を買うことで支えてしまっており、そうはならない。これは、ウクライナの戦場での西側の支援の性格とも似ているが、世界各国ともロシアのおかげで世界の秩序が壊滅的な崩壊を来すことだけは、つまり第3次世界大戦だとか世界経済の破綻だとかギリギリ避けたいと考え、ある一線で踏みとどまっているとしか言いようがない。
ただこのまま戦争が終結したとしても、西側諸国が、エネルギーや穀物といった物資を使って戦略的な脅しをかけ続けたロシアに、今後、このような重要物資の供給を依存することはあり得ないし、軍事転用可能な技術の輸出も許すことは考えられない。
そこでロシアに残された道は、多分、緩やかに中国のジュニアパートナーになっていく、ということだろう。北朝鮮化、あるいはイラン化である。
それに加え、アフリカ、中東などの途上国、つまりグローバル・サウスを、食糧やエネルギーの供給元となることで影響力を保持し、取り込んでいくことだろう。
ロシアはこの2つの軸に寄りかかるしかないと見るべきだろう。