インドが中国を抜き去る時代
ここ2週間ほど、私はテレビなどから、「中国の人口減少を予言した男」と紹介されている。きっかけは1月17日に、中国国家統計局の康義局長が、年に一度の記者会見で、こんな発表を行ったことだった。
「昨年末の全国の人口は、14億1175万人で、昨年末より85万人減少した。全国の出生数は956万人だった」
ついに中国は、「人口減少時代」&「出生数1000万人割れ時代」に突入したのである。
日本人は一般に、「中国=世界一の人口大国」という先入観を持っているため、「中国」と「人口減少」が結びつかないのだ。実際には、2005年から日本は「人口減少時代」に突入しているが、最初に発表された時は、衝撃をもって受け入れられたものだ。
そして私が「予言者」のように言われるのは、5年前に『未来の中国年表』(講談社現代新書)という本を出しているからだ。
この本は、「中国の政治や軍事はブラックボックスで、経済統計は大袈裟に思えるが、人口だけはウソをつかないでしょう」という青木肇・現代新書編集長の発案から生まれたものだった。
それで中国の人口学者にあたったり、資料を調べたりして、「2018年、2019年、2020年……」と、建国100周年にあたる2049年まで、人口から見て中国に何が起こるかを、大胆に予測したのだ。その中で、「人口減少時代の中国」についても詳述している。
だが、私がこの本で本当に言いたかったのは、もう一つ別のことだった。それは、「人口動態から見て、2035年頃にインドの猛烈な脅威にさらされる」ということだった。
2010年、中国は日本のGDPを抜き去った。それと同じように、「インドが中国を抜き去る時代」が近未来にやって来ることが、両国の人口動態を比較していて、確実に思えたのだ。