2023.02.22

「長谷工コーポレーション」がマンション業界で「便利な存在」と言われる「納得のワケ」

いまあなたが住んでいるマンション、これから住むかもしれないマンション、親から譲り受けて何とかしなければならないマンション、子供から購入のために資金援助を求められているマンション、……それらのマンションを「格差」の視点で見つめるとどうなるのか?

現在居住中のマンションが、近隣のマンションと比べて優位に立つために、いまからできることとは?

*本記事は、榊 淳司『マンション格差』(講談社現代新書)を抜粋・再編集したものです。
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デベロッパーの正体

分譲用の新築マンションを開発する企業は、「マンションデベロッパー」と呼ばれている。よく知られている会社は、三井不動産レジデンシャルや三菱地所レジデンス。住友不動産や大和ハウス工業にもマンションデベロッパー部門があり、毎年の供給ランキングを見ても常に上位に名を連ねている。

大手の建設会社が直接マンション開発を行ったり、あるいはマンションデベロッパーとしてのグループ会社を作って事業を展開しているケースも多々ある。鹿島建設や、大成建設グループの大成有楽不動産である。また、日本の主だった私鉄はほとんどが不動産開発事業を行うグループ会社を作り、マンション事業を展開している。近鉄不動産や阪急不動産、京成不動産などだ。東急不動産も東急電鉄の関連会社である。セコムやオリックスといった、一見マンションとは何の関係もなさそうな大企業のグループ企業がマンション開発を行っている例もある。

さらに、総合商社も自ら乗り出し、子会社と組んでマンション開発を行っている。彼らの特徴は、市況のいい時には多数の事業を手掛けるが、悪くなるとさっさと手を引いてしまうことにある。一方、名前を聞いたことのない企業が新築マンションの売主になっている場合も多い。特に、地方では地元の不動産会社や建設会社がマンションの開発事業を行っているケースをよく見る。

なぜ、マンションの開発事業を行う企業は、こうも顔ぶれが多彩なのか?

たとえば、日本では自動車を作るメーカーは数社に限られている。商社や鉄道会社が子会社や関連会社を作り、自動車を製造・販売しているようなことはない。多分、そう簡単にはできないのだろうし、たとえやったとしても既存のメーカーには敵わないだろう。