2023.03.02

「エントランスまわり“だけ”豪華で、住戸内は普通」…不動産デベロッパーが用意しているヤバすぎる「マンションの罠」

いまあなたが住んでいるマンション、これから住むかもしれないマンション、親から譲り受けて何とかしなければならないマンション、子供から購入のために資金援助を求められているマンション、……それらのマンションを「格差」の視点で見つめるとどうなるのか?

現在居住中のマンションが、近隣のマンションと比べて優位に立つために、いまからできることとは?

*本記事は、榊 淳司『マンション格差』(講談社現代新書)を抜粋・再編集したものです。
PHOTO by iStock

粗利率40%のウラ

当たり前のことだが、慈善事業でマンションの開発分譲事業を行っている会社はない。どこも、利益を出すことが目的である。当然、自社で開発したマンションは1円でも高く売ろうとする。

では、マンションの価格はどのようにして決まるのか?

基本的にはコストの積算方式である。

土地代(仲介手数料)

設計料

建築費

販売手数料

諸費用

これらのコストに加えて、デベロッパーの利益を乗せたものが、新築マンションの価格となる。不動産業界の慣例によると、デベロッパーの事業利益はマンション価格の15%から20%とされているが、最近の傾向としては会社によってマチマチである。40%近い利益を乗せて販売していると目される財閥系の大手デベロッパーもあれば、最初から5%の事業計画で始めてしまうところもある(それぞれの「お家の事情」によって利益率が大きく異なっており、40%もの粗利率で販売している某財閥系企業は、業界の中でもかなり「異色の存在」と目されている)。

そもそも新築マンションというのは、通常は竣工前に販売が始まる。つまり、建物が完成して引き渡す前に、購入者から手付金を預かって売買契約を締結する。建物が完成して内覧や補修などを終えると、晴れて引き渡し。それと同時に多くの購入者は住宅ローンの融資実行を受けて残金をデベロッパーに支払う。

多くのデベロッパーは、受け取った残金で土地代や建築費の支払いのために銀行から受けていた融資を返済する。ここで初めて利益を手にすることができる。仮に、竣工時に全住戸が完売していないと、その開発事業のために銀行から借りたお金は返せない。銀行から借りている限り、金利が発生する。だからこそ、その金利負担から逃れるために多くのデベロッパーは、「竣工時までの完売」を目標としている。