買ってはいけない「新築マンション」の「オフィシャルHP」に書いてある「注意すべき意外な言葉」
現在居住中のマンションが、近隣のマンションと比べて優位に立つために、いまからできることとは?
*本記事は、榊 淳司『マンション格差』(講談社現代新書)を抜粋・再編集したものです。

マンションの資産価値とは
しかし、これらはすべてデベロッパーの「お家の事情」でしかない。購入した方にとっては、自分の住むマンションが利益率40%で販売された物件でも、5%しか乗っていない開発事業だったにせよ、さして関係ない。それよりも5年後、10年後にいくらで売れるのか? 20年後の資産価値はどう評価されるのか? ということの方が大切だ。ありていに言えば、「マンションの資産価値」というのは、「中古物件としていくらで売れるか」ということなのである。
40%の利益率で販売されたマンションの場合、新築時の販売価格がその時点での市場価格を1~2割程度上回っていることがほとんど。利益率5%のマンションは、その時の市場価格並みか、やや低めであるケースが多い。
実は「新築時にいくらで販売されていたか」というのは、築年数が浅い場合に限れば、中古として取引される際に「多少」影響する。今はネットで多くの情報が公開されている。中古マンションの新築時販売価格も、その気になって調べればすぐにわかる。中古で購入を検討している方も「これは○年前の新築時に○○○○万円だったから」ということを参考にする。はたまた、売却する側も、同じマンションで売り出されている別の住戸について、「あそこは新築時の価格から○○○万円下げて(上げて)いるから」ということを指標に使う。
しかし、そういうことを気にするのはせいぜい築10年くらいまでである。築20年になった中古マンションについて、「このマンションは新築時に○○○○万円だった」ということがたとえ話題になったとしても、それは遠い昔の話。そんなことよりも、駅からの徒歩分数や修繕積立金の残高といった、そのマンションの持っているさまざまなスペックの方がより影響する。
結論を言えば、利益率が40%の割高物件でも5%の市場価格物件でも、新築時の販売価格が資産価値に多少なりとも影響するのは、築10年まで。それ以降は、その物件そのものについて評価される。したがって、やはり割高なマンションを購入してしまうと、その割高分だけはキッチリと余計に払わされたことになるのだ。高いマンションを買ったからといって、マンションの格差競争でアドバンテージを得たことにはならない。