2023.02.05
# 日本史

『どうする家康』の時代の「庶民」は、過酷な世界をどう生き抜いたか? 1592年・京都にいた”ある男"が見た歴史

現在放送中「どうする家康」をはじめ、戦国時代モノの大河ドラマの主役と言えば、誰もが知る大名や武将、英傑たち。しかし、彼らが華々しく戦いを繰り広げられたのは、それを支えるヒトとモノがあったからこそだ。

ヒトとモノのエコシステム=生態系に注目する〈生態学的アプローチ〉によって中世世界を描く、斬新な戦国時代論『戦国日本の生態系 庶民の生存戦略を復元する』(講談社選書メチエ)からお届けする。

本能寺の変の年「ハマ」から京へ来た男

天正(てんしょう)20年(1592)2月、豊臣政権が大陸への派兵を翌月に控えていたときの話である。政府が京都で住民調査を行った。戸別に家主・賃借人を調べたこのセンサス(国勢調査)は、大陸派兵に動員できる人員の数を把握することが目的だった。なおこの調査は3月以降、対象を日本全国に広げて行われることになる。

 

京都で行われた調査の記録のうち、この年の2月9日付けでつくられた、高倉通(たかくらどおり)天守(あまかみ)町(京都市中京区天守(てんしゅ)町)のものが残っている。記されている人物をひとり紹介しよう。

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