多くのテレビドラマや映画に出演してきた女優の松本若菜さん。2022年は「やんごとなき一族」で、土屋太鳳さん演じる主人公をいびり倒す義姉役を演じ、振り切りながらもコミカルな演技が印象的だった。現在は放送中の「夕暮れに、手をつなぐ」で、King & Princeの永瀬廉さん演じるアーティストを導くレコード会社のバリキャリを演じており、キャリア16年の今、花を咲かせている。

そんな若菜さんが、白血病の主人公に骨髄を提供するドナー役を演じた映画『みんな生きている 〜二つ目の誕生日〜』は、2023年2月4日から新宿K's cinemaほか全国で順次公開。若菜さんのインタビュー前編では、故郷の鳥取から上京し、アルバイトを掛け持ちしながら積み上げてきたキャリアについて伺った。

撮影/村田克己
松本若菜(まつもと・わかな)
1984年2月25日鳥取県生まれ。2007年女優デビュー。2017年『愚行録』で第39回ヨコハマ映画祭助演女優賞受賞。他の出演映画に『コーヒーが冷めないうちに』(18)『この道』(19)『his』(20) 『映像研には手を出すな』(20)『大綱引の恋』(21)『君が落とした青空』(22)など。最近のドラマでは、CX系「やんごとなき一族」TX系「復讐の未亡人」NHK「探偵ロマンス」TBS系「夕暮れに、手をつなぐ」などの話題作に出演。
 

鳥取でスカウト、一度は断り地元で働く

近年、話題のドラマには必ずと言っていいほど、若菜さんの姿がある。16年のキャリアは、どのようにスタートし、どのように歩んできたのだろうか。

「15歳の時に、住んでいた鳥取県米子市に奈美悦子さんがいらっしゃっていて、学校帰りの私が『芸能人がいる』と追いかけて握手してもらった時に、芸能界に入らない?と誘っていただいたのがきっかけです。話が具体的に実現していくとだんだん怖くなってきて、その時はお断りしたんですけれども、地元で就職して社会人経験をしていくうちに、何か違うかなという感じが起こってきました。

美容部員として働いていたのですが、シフト通りの生活が一生続くのかと思ったら、15歳で東京に行って仕事をするのを想像して感じた怖さよりも、このまま人生が終わってしまうのかもしれないという恐怖のほうが、大きくなってしまったんですよね。挑戦するなら、22歳が最後のチャンスかもしれないと思って上京しました。これが一つ目のターニングポイントです」