映画『みんな生きている 〜二つ目の誕生日〜』で白血病の主人公に骨髄を提供するドナー役を演じた松本若菜さん。現在は放送中の「夕暮れに、手をつなぐ」で、King & Princeの永瀬廉さん演じるアーティストを導くレコード会社のバリキャリを演じており、キャリア16年の今、花を咲かせている。
2023年2月4日から新宿K's cinemaほか全国で順次公開される直前に行われた若菜さんのインタビュー前編では、アルバイトを掛け持ちしながら積み上げたキャリアについて伺った。
後編では、コミカルな芝居に多彩な趣味などプライベートのエピソードをインタビュー。骨髄ドナーという難しい役を演じる上で考えたこと、また若菜さんにとっての奇跡の出会いから学ぶことをお伝えする。

尾上松也さんの歌舞伎から学ぶ
インタビュー前編でお伝えしたように、いくつものアルバイトを掛け持ちしながら、真摯に役に向き合い、その積み重ねが今の充実感につながっていると語る若菜さん。ドラマ「やんごとなき一族」で演じた主人公をいびる義姉役のような、コミカルな演技にも説得力があり、ファンは多い。
「そうですね。ずっとコミカルなお芝居がしたいと思っていて、コメディに近いものが好きだったし、演じてみたかったんです。でも私が求められてきた役っていうのは、どこか幸が薄かったりとか、何か過去に背負っているものがあったりとか、いわゆる影のある女性が多かった。そんな女性が、ちょっとでもコミカルな感じに動いたら、監督にあれ?って言われるので、そこはわきまえてやっていました。
『やんごとなき一族』は、全くコメディではないんですが、なぜかそうなっていって。他の皆さんが、ちゃんと真剣な芝居をしてくれたから、できた。周りも一緒にコミカルにしていたらおかしいので、ありえない設定でありえない行動でも、主人公の土屋太鳳ちゃんや松下洸平くんが、それを真剣に受け止めてくれるんです。そうすると、見ていておもしろくもなるし、ちゃんと成立する。共演者の皆さんのおかげで、あの役ができたと思っています。
あとは、私と夫婦を演じた尾上松也さんとの出会いかな。松也さんと一緒に夫婦役ができたっていうのも、私の女優人生の大きなできごとでしたね。松也さんが出ている今年の新春歌舞伎を観させてもらいました。日本の伝統的なもので、昔の言葉を使っているから、セリフはよくわからないところもあるんですけど、お客さんがハハハって笑っているんです。松也さんの舞台で、お芝居で笑わせるって、何百年も前からやっていたんだという、原点を見せてもらいました。共演は初めてだったんですが、その後、番宣で相方に呼んでくれたり、良いお友達というか、今では松也って呼んでいます(笑)」