法学者で、ラグビー協会の理事も務めた谷口真由美さんが、大阪府知事選への挑戦を決めた。これまで何度も打診がありながらも政治の世界には入らないと固辞してきた谷口さん。なぜ今回は受けることにしたのか、ジャーナリストの浜田敬子さんが谷口さんにオンラインで独占インタビューした。
挑戦を決意した背景には、大阪で10年以上続いた「維新政治」で本当に暮らしはよくなったのか、住民は幸せになったのかを検証したいという強い思いがある。
日本は女性の政治参画が世界でも最下位クラスだ。ジェンダーギャップ指数の政治分野で日本は146カ国中139位。谷口さんはこの状況を変えるためにも、自ら挑む姿を女性たちに見てもらい、女性の政治参画の背中を押したいと話す。
前後編にてお届けする前編は、決意した背景についてお届けする。
最初の要請は大阪市長選だった
ーー元大阪府副知事や経済人が中心となって立ち上げた政治団体「アップデートおおさか」から要請される形で、大阪府知事選への挑戦を決められました。これまで何度も首長や国政選挙で出るよう要請されてきましたが、その度に固辞して来られました。今回はなぜ決意されたのですか。
谷口真由美(以下、谷口):私はこれまで選挙で名前があがるたびに、ずっと絶対政治家にはならない、選挙には出ないと言ってきたので、「あの人はもう無理や」と私の元に来る前に話が止まっていることが多かったんですね。
「アップデートおおさか」の方はそんな噂も顧みず、突っ込んで来られました。大阪市長選に出てくれませんかと。2022年11月末ごろでした。「そんな気はないです」と答えたら、今度は年が明けて知事選でも市長選でもどちらかに、という話があったんです。当時、声がかかっていたみなさまは、皆さん、迷われていて、決まってなかったんです。躊躇するのもわかりますよね。

吉村さんはロックスター並。出るなら大将戦
ーー日本維新の会代表でもあった松井一郎・大阪市長が退任するので市長選は新顔同士の争いになります。そちらの方が戦いやすかったのではないですか? 知事選には現職の吉村洋文知事が出馬予定です。

谷口:今大阪の世論調査を見ると、吉村さんは「ロックスター並の」支持率です。確かに吉村さんとの戦いになると厳しいと思います。
ただ、大阪は昔から市と府の二重行政が問題視され、「府市合わせ(不幸せ)」という言葉まであります。それが都構想という動きにもなりました。私が仮に市長になると、また吉村府政との「不幸せ」の構図がクローズアップされるだろうと思いました。
確かに市長選の方がチャンスはあるかもしれない。でも戦うなら大将戦で、と思ったんです。出るからには勝つつもりで戦いますが、もし落ちても、橋下(徹)さん以来大阪で続いてきた「維新政治」を問い直し、検証することはできます。