2023.02.06
中国・アリババの株価3.6兆円分が吹き飛んだ…そのウラで中国経済にいま起きている「本当の現実」
中国経済の復活には時間がかかる
1月30日、31日の香港株式市場では、それまで急上昇してきたアリババの株価が大きく売り込まれた。
31日までの一週間で、同社の時価総額の内3.6兆円ほどが吹き飛んだことになる。
その動きは、多くの投資家が、期待先行で上昇していた同社株の利益確定に動いたことを示している。
ポイントは、中国経済の持ち直し期待は高まってはいるものの、それが本格化するにはまだ時間がかかるという点だ。

中国経済の本格回復までに時間が掛かる背景には、いくつかの要因がある。
まず、中国が新型コロナウイルスの感染再拡大を完全に克服するにはまだ時間を要することだ。
二つ目は、習政権は経済成長率を高めるための構造改革よりも、むしろ自らの支配体制の強化を優先していることである。
今のところ、悪化基調が続く不動産市況がどう推移するかも見通しづらい。
今すぐに中国の景気が上向きGDP成長率が大きく高まる展開は描きづらい。
ゼロコロナ政策が長引いたことなどによって、人々の消費意欲はかなり抑圧された。
雇用・所得環境の不安定化も重なり、節約を重視する心理は短期間で解消されにくいはずだ。
中期的に中国経済は徐々に持ち直すと考えられるものの、目先の景気回復の足取りはかなり緩慢になるものと予想される。