日本株、東証「市場改革」で「自社株買い」に期待大の「プロ厳選・低PBR6銘柄」を実名紹介
東京証券取引所はPBR(株価純資産倍率)が継続的に1倍を割る企業に対し、2023年春にも改善策などの開示拡充を求める方針だ。PBRは「株価が1株あたり純資産の何倍に当たるか」を示す指標で、1倍未満の場合は、理論上では資本コスト(市場が求める最低リターン)を下回る収益力しか持たないことになる。
東証株価指数(TOPIX)500構成銘柄のうち約35%はPBR1倍を割り込んでいる状態だ。5%程度にすぎない米S&P500種株価指数と比べて大きく水をあけられているほか、世界的にみても異様な多さだ。
PBR浮上の鍵を握るのはROE(自己資本利益率)だ。PBRは「ROE×PER(株価収益率)」という計算式で表すこともできる。つまり資本コストを上回る収益力があればPBRに直接働きかけるだけでなく、PERにもプレミアムが付与され、さらにPBRを押し上げる効果が期待できる。
ROE向上を狙うには分子の純利益を増やすか純利益率を高めればよいが、話はそう簡単ではない。一方、保有キャッシュが大きく、自己資本比率が高い企業の場合、自社株買いの実施でROEを改善させることができる。つまり分母の自己資本を有効活用で小さくする方法だ。財務レバレッジを通じてROE向上が期待できるほか、政策保有株の放出の受け皿としても期待できる。構造改革や自社株買いを通じて「脱・低PBR」が期待される企業に注目してみたい。

凸版印刷(7911)
■株価(2月4日時点終値)2056円 PBR0.53% ROE5.21%
来24.3期は円安一服に加え、好調だったエレキ事業の反動減が見込まれるが、強みを持つ半導体関連の受注残と長期的な供給契約を背景に堅調な推移が期待される。子会社が手掛けるフォトマスクは比較的需要が堅調なロジック向けが多く、FC-BGA(パッケージ)も需要堅調なサーバー向けが多い点も心強い。印刷事業などで培った生産管理のノウハウなどを提供するデジタルトランスフォーメーション(DX)事業の案件増加も期待できる。
中期経営計画では政策保有株式を縮減する方針を掲げている。売却資金を活用してDXを中心とした事業構造の見直しを進めている。財務と実務の両面から収益効率が改善される期待がある。