意外と知られていない…日本人のうち「酒を飲める人」が多い「都道府県」
『焼酎の科学』焼酎は、その味や香りだけでなく、「健康に良い」ことも大きな魅力です。酔い覚めが良く、二日酔いしにくいだけでなく、近年は焼酎のさまざまな健康効果が明らかになりつつあります。いったいなぜなのでしょうか。
講談社ブルーバックスから発売された『焼酎の科学』から、おいしくて体にも良い焼酎の秘密をご紹介していきましょう。
お湯割りは芋焼酎から始まった
焼酎が広く飲まれるようになった理由の1つは、「体に優しい健康的な酒」であるという認識が広まったことです。かつて焼酎は“強い酒”と思われてきましたが、この常識が覆ったのは昭和50年代初頭からのお湯割りの飲み方が広まってからのことだと考えられます。
それまで、米焼酎や泡盛は35度くらいのものをストレートで飲むのが普通でした。しかし芋焼酎だけは、お湯割りの低濃度で飲まれてきました。なぜかというと、明治時代以前のどんぶり仕込みと呼ばれる製法では、芋焼酎はアルコール度が低い焼酎しか造れなかったことが関係しています。
サツマイモのデンプン含量は米の3分の1程度しかなく、また、米麹の使用割合が低く、さらに芋焼酎のモロミは粘性が高いために高濃度の仕込みが難しいことから、20度程度とアルコール度の低い芋焼酎となります。これはストレートで飲んでも米焼酎よりずっと低いですが、芋焼酎を造っていた薩摩の人々はこれくらいの低濃度の焼酎を飲み慣れていたのです。

大正時代になると芋焼酎の醸造法が大きく変わり、米麹の割合が高い二次仕込法が定着して、高濃度の焼酎が造れるようになりました。そこで低濃度の芋焼酎に慣れていた薩摩では、芋焼酎がお湯割りで飲まれるようになりました。
水割りではなくお湯割りだったのは、水を加えることによるアルコール度の低下や温度の低下によって、芋焼酎に含まれる不飽和脂肪酸エチルエステルが溶けきれなくなって油様に析出して白濁し、べたつき感が感じられたためだと考えられられます。お湯割りにすると、この成分を溶かし込むことができたのです。
現在は、過剰量の白濁成分をろ過により除去して商品化しているため、水割りでもおいしく飲むことができるようになっています。
この焼酎独特の“低濃度で飲まれる芋留酒”は、その後の焼酎の発展に大きく貢献することになりました。現在では芋焼酎に限らず、水割りやお湯割りなどで割って飲むことが一般的になっています。この「割って飲む」文化が、焼酎らしさの原点をなしていると考えられます。
焼酎らしさとは
- お湯割りで飲める蒸留酒
- 新酒で飲める蒸留酒
- 料理に合う蒸留酒
- 酔い覚めの良さ
- 多様な個性
- 醸造酒のように飲める蒸留酒