2023.02.08
じつはまったく「ベツモノ」だった…焼酎の「甲類」と「乙類」、意外と知らないその「違い」
一口に「焼酎」と言っても、甲類や乙類など種類がいろいろあるのは聞いたことがあるかもしれません。改めて聞かれると、きちんと答えられる人は多くないのでは。
好評発売中の講談社ブルーバックス新刊『焼酎の科学』(鮫島吉廣・高峯和則:著)より、一部を特別編集してお届けします。知っておくと、お酒を選ぶのが楽しくなるはずです!
焼酎の歴史を動かした酒税法改正
米や麦、ブドウなどを発酵させて造られるのが醸造酒、この発酵モロミを蒸留して造られるのが蒸留酒、これらの酒類に別の酒類や物品を加えて造られるのが混成酒と呼ばれます。こうした呼び方は、酒税法によって定められています。
本格焼酎を正しく理解するうえで、酒税法の知識は欠かせませんので、ここで簡単に紹介しておきましょう。
2006年度の酒税法改正により、これらのうち発泡性を有する発泡性酒類を別扱いとしてこの4種類に大別し、原則として、この種類ごとに異なる税率を適用しています。図「酒税法による酒の分類」に4つの種類、その横に品目を記載しました(ちなみに、以前は「酎」の字が常用漢字に登録されていなかったため、2018年度の酒税法改正前までは、酒税法ではすべて"しようちゆう"と平仮名で表記されていました)。
酒税法による酒の分類
酒類/品目
- 蒸留酒類/単式蒸留焼酎 連続式蒸留焼酎 ウイスキー ブランデー スピリッツ(ウオッカ、ジンなど) 原料用アルコール
- 醸造酒類/清酒 果実酒 そのほかの醸造酒 どぶろくなど
- 発泡性酒類/ビール 発泡酒 その他の発泡性酒類
- 混成酒類/味醂 合成清酒 リキュール 甘味果実酒 粉末酒 雑酒(灰持酒など)
酒類の製造免許は、この品目ごとに取得する必要があります。
2006年度改正前は、"焼酎"の種類のなかに、焼酎甲類と焼酎乙類がありましたが、改正後は「焼酎乙類」は単式蒸留焼酎として、「焼酎甲類」は連続式蒸留焼酎として独立しました(図「焼酎呼称の変遷」)。

これは、焼酎の歴史において画期的なことでした。