少子化が進む中でも、首都圏の中学受験熱はいっこうに冷める気配を見せず、ここ数年の中学受験者数は高水準で横ばい、あるいは増加傾向が続いている。さらに、先行き不透明な日本社会の現状に不安を抱き、海外の学校に視線を向ける家庭も増えてきた。
我が子にとって、ベストな教育環境を選ぶにはどうしたらよいのか?
灘校を卒業後、米マサチューセッツ工科大学に進学し、20代半ばにしてオンライン学習サービス『スコラボ』を立ち上げた、『Mined』代表取締役の前田智大さんに話を伺った。中学受験、海外留学、日本とアメリカにおける学歴社会の違い……前田さんが考える、これから時代に必要な能力とはーー
中学受験で注意すべきタイプの子とは?
首都圏に暮らし、小学生の子どもを持つ親の多くは、まず中学受験をするのか、しないのか、という選択肢を前に一度は悩むことになる。そして、いざ中学受験をすることが決まれば、第一志望合格というゴールに向かって一気に突き進んでいくパターンが多い。だが、前田さんは、「受験はあくまでも手段」だと強調する。だからこそ「受験は善か、悪かという話ではなくて、関わり方と子ども本人の性格との相性がすごく大事なんです」という。
もちろん、中学受験をやりたいと子ども自身が希望した場合は、挑戦してみるべきだろう。だが注意したいのは、親の希望で子どもに中学受験をさせる場合だ。
まず、“中学受験が合っている子”として、前田さんが例に挙げたのは「目の前の勉強に対する好奇心が強い子」、そして「テストの点数を上げること自体に、ゲーム感覚で取り組むことができる子」である。「そういったタイプは勉強が嫌いになることがあまりないんです。楽しみながら勉強できる子が、いい学校に行って、賢い友達に囲まれるというのは悪いことではないので、そういう子に関しては、中学受験はメリットが大きいと思います」

一方、気をつけた方が良いと感じるのは「得意な教科と苦手な教科がはっきりと分かれている子」だという。「中学受験ではいろんな教科をまんべんなくできないといけない。そういう仕組みなので仕方はないが、苦手な教科に意識がいき過ぎて、学びそのものに苦手意識を持つ可能性があります。自分の特性を客観視することと、できれば自分にあった学校を選ぶのが大事だと思います」