2023.02.17

絶対にあってはならない…「海上自衛隊」であまりに「非常識な事件」が起こってしまったワケ

「元海将・OB」の責任

昨年の特定秘密漏洩発覚は、同法の施行後初めてということ、そして1佐という階級高位の幹部自衛官による行為であることもあってか、事件が公になって以降、大いに世間からの耳目を引くことになる。<【前編】情報漏洩で懲戒免職になった海上自衛官の「さびしすぎる最後」>に引き続き、井上高志元1等海佐の特定秘密漏洩事件について語る。

事件発覚後、SNSをはじめ、ネットでは、井上元1佐を強く非難する声が頻々に書き込まれた。そこには真偽不明の井上元1佐への単なる誹謗中傷も多々書き込まれたものだ。

だが時間を経るに連れてその風向きは変わっていく。

その声は、なぜ特定秘密を聞き出した「元海将・OB」の実名が出ないのか。そしてこのOBは責任は問われないのか、このふたつに集約されよう。

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たしかに自衛隊と何ら関わりのない一民間人ならともかく、OB、それも海将まで昇ったOBとなれば、特定秘密の漏洩、その罪がいかに深いか承知のはずである。

ましてやこのOBは新聞をはじめとする各種報道によると、「自身の講演活動のため」に事件当時、情報業務群司令という海自の情報を取り扱うセクションの責任者を勤めていた井上元1佐から特定秘密を聞き出したというから、なおさらだ。

片や懲戒免職、片やOB、いくら海将という自衛官として最高位の階級まで昇ったとはいえ、すでに自衛隊とは何ら関係のない一民間人という理由で何らお咎めなし――。ごく一般の市民感覚では、どこか釈然としないものがあるのも頷けよう。

そこには、この元海将・OBは、みずからの私利私欲のために国益を左右する極秘情報を得てカネにしようとした、それによって巻き添えにした後輩を懲戒免職という勤め人にとっては死刑ともいえる形でひとりの人物の将来を奪ったのだから、それは何らかの責任を問われるべきである――という通奏低音が流れている。

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