2023.02.09

【独自】文科大臣を務めていた萩生田光一氏に「教育論」をガチンコで聞いたら、驚きの回答だった《シリーズ・ニッポンの教育》

ニッポンの教育
田原 総一朗 プロフィール

ブラック労働をあらためる三つの教育改革

田原 長時間労働を強いられる教員の仕事が「ブラックすぎる」と揶揄されています。中学校の教師なんて、1日の平均勤務時間が11時間だそうです。授業が終わって以降の準備や事務作業、部活の指導が大変なんですよね。

萩生田 「ブラックだ」なんて言われれば言われるほど、教員を志す若者が減り、教育のレベルが下がっていってしまいます。

田原 どうすればいいですか。

 

萩生田 教員は役所に勤める地方公務員とは別の枠組みで、給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)と人材確保法の2つによって給与に優遇措置が加算されています。

ただしこれは昭和40年代に作ったルールでして、一般職の地方公務員より、等級を少し上にした給与表とわずか4%の調整額の上乗せしかないんですよ。毎日膨大な残業をこなしている教員は、時給換算すると何十円という計算になってしまいます。働いた分は、何らかの形でフィーをきちんと払うべきでしょう。

ただし、都道府県の職員と同じような計算の仕方をすればいいかというと、そうでもありません。先生が放課後に書物を読んだり調べものをしているとき、それが仕事なのか単なる自己研鑽なのか判断しづらいですからね。

田原 残業代をきちんと払うと同時に、長時間労働をどうやってあらためますか。

萩生田 教員の働き方改革のため、2019年から「GIGAスクール構想」が始まりました。生徒1人につき1台ずつタブレット端末やパソコンを支給し、教育のDX(デジタル・トランスフォーメーション)化が一気に進んでいます。

田原 GIGAスクールによって教育現場はどう変わりましたか。

萩生田 紙でテストをやっていたころは、子どもたちの小テストのマルバツつけを放課後にやらなければなりませんでした。端末を使えば、試験が終わった瞬間ボタンを押せば採点が終わります。こういうツールを上手に使いながら、1日の労働時間を減らしていくべきです。

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