
43歳シングルマザーが絶句…「夫の連れ子」とくだした「意外な決断」
親権はどちらに…
子を引き取る障壁
「その時、真っ先によぎったのが娘のことです」
小学校4年生になったひとり娘に、別離のことを伝えたのはヨウコさんだった。
「あたし、ママのところへ行く」
このひとり娘の言に、ヨウコさんはさほど驚くことはなかった。
「むしろ、この血の繋がりのない娘をわたしが引き取る場合、どういうハードルを乗り越えなければいけないか。気になったのはそこです」
タカシのほうは、この娘の決断に、「その方が幸せになれるだろう」と、あっさりと血の繋がりのある娘との縁を絶った。タカシの実家もまた同じだった。
対してヨウコさんの実家でのリアクションはこうだ。
「縁だ。応援するから引き取れ――」
こうしてひとり娘は、ヨウコさんの娘として引き取られることとなった。
しかし、ここではだかるのが法の壁だ。夫とその前妻の子を離婚を機会に自分の子として引き取ることは、はたしてできるのか。
この点について神奈川県弁護士会所属の川邉賢一郎弁護士に聞いた。
「婚姻時に子と養子縁組をしているかどうかで大きく話が変わりそうです。この子を養子縁組していれば女性側も親権者になります。なので離婚時に親権者を定めることになります。いわゆる連れ子であろうと実子であろうと、離婚時に親権を定めるやり方は変わらないということです」

ヨウコさんのケースでは、前夫であるタカシと入籍、すなわち婚姻届は出したもののひとり娘と養子縁組まではしていなかった。ヨウコさんがタカシの姓を名乗ることにしたため、どこかにそれを持って実子と同じ扱いになる……と思っていたところもあった。
法律に疎い一般人なら、この感覚もまたわからなくもない話ではある。
続けて、前出の川邉弁護士は解説する。
「対して養子縁組をしていない場合、法律上の親子関係は生じていないため父親が親権者ということになります。これは親権に対する考え方であり、事実上誰が監護するのかというのは、厳密には別問題ですが、親権者が誰であるかは子の監護において重視されるため、先に触れた親権についての考え方はそのまま子どもが誰と暮らすかに反映されることが多いと考えられます」
つまりヨウコさんとひとり娘のケースでは、法律上の親子関係はなく、ヨウコさんからみれば、ひとり娘は単に「婚姻相手の子」であり、同じくひとり娘からみれば、ヨウコさんは、「父親の再婚相手」に過ぎないということである。