2023.02.23
「私は良い母親になろうと努めてきた」58歳母を殺害した「医学部9浪」の娘が明かす…母からの想像を絶する「叱責」の9年間
2018年3月、滋賀・守山市野洲川の河川敷で、両手、両足、頭部を切断された体幹部だけの遺体が発見された。遺体は激しく腐敗しており、人間のものか動物ものかさえ判別が難しかったが、その後の捜査で、近所に住む58歳の女性のものと判明する。
女性は20年以上前に夫と別居し、31歳の娘と二人暮らしで、進学校出身の娘は医学部合格を目指して9年間もの浪人生活を経験していた。
警察は6月、死体遺棄容疑で娘を逮捕する。いったい二人の間に何があったのか――。母を殺害した獄中の娘・髙崎あかり(仮名)と交わした膨大な量の往復書簡をもとにつづる、驚異のノンフィクション。
母の監視下に置かれながら浪人生活を送っていたあかりだったが、5回目の大学受験を間近に控えた2008年の年末、母が自殺を図ったことで、危うくも保たれていた母娘の均衡は徐々に崩れ始める――。
詰問と叱責
自殺未遂騒動のあと、母の詰問と叱責は弱まるどころか、むしろ日に日に強くなっていくようだった。
「学校から何度も呼び出され、謝罪して、私には何の罪もないのに、あんたの母であるばっかりに、ビクビク散々嫌なことを無理強いしておきながら、自分は嫌なことなら成功の努力もせず失敗しては、自分は好きなことじゃないとやる気が起きないって簡単に言い切る人の言葉を、身勝手きわまりない言葉を、誰が信じられるの?」
「愚行を繰り返す娘に痛めつけられ精神を病みながらも、その娘をかばい支えてきた母の十数年に心を寄せてもくれず、悩みに悩んだ挙句に絞り出した最後の母の望みすら、口先だけの約束に終わらせた娘に腸が煮えくり返ってないと思ってるの?」
「私は、家族で幸せになりたかった。そのために良い母親になろうと努めてきた。あんたはどうだった?」