2023.02.13
日本のお家芸・工作機械に「まさかのピンチ」の兆候が見えはじめた…そのウラで起きていること
不気味な兆候
足許、わが国経済の先行きを考えるうえで、やや気になるデータが増え始めた。
その一つが、工作機械受注の減少だ。
高度経済成長期以降のデータを分析すると、精密な工作機械メーカーは新しい製造技術を生み出して成長を実現した。
それは、わが国の経済成長を支えた要素の一つだ。
工作機械に対する需要が減少しつつある背景には、いくつかの要因がある。

まず、中国では過剰な生産能力が深刻化し、設備投資のモメンタムは弱まっている。
ゼロコロナ政策が終了したことは世界経済にとってプラスだ。
ただ、短期間で中国経済が持ち直す展開は考えづらい。
過去の景気回復局面にくらべ、中国の持ち直しに時間がかかる可能性は高い。
また、米国やユーロ圏では追加利上げが予想される。
今後、世界的に設備投資を減らす企業は増えそうだ。
それに伴い、わが国の工作機械受注には一段の下押し圧力がかかりやすくなる。
加えて、短期的に国内の物価はまだ上昇するだろう。
インバウンド需要の回復などによって個人消費は緩やかに上向きつつあるものの、わが国経済の持ち直しペースが緩慢になる可能性は高まっている。
そうした観点から今後の工作機械受注がどう推移するか、注目に値する。