本来なら半分ずつ遺産を分けるわけですが、ずっと専業主婦だった母親にはほとんど貯金がなかったらしく、舞さんは自分が相続する分を母親に譲り、相続してもらうことにしました(各相続人が同意すれば、ある一人が遺産のすべてを相続しても法的に問題ではありません)。
このとき、母親の年齢は72歳。舞さんは、今すぐに大きなお金が必要だったわけではなかったので、いずれはその遺産のほとんどを自分が相続すると考えて特段気にしなかったといいます。
こうして将来の安泰が約束されたと思った彼女は、すぐに婚活相談所を退会したそうです。
ところが、父親が亡くなって5年後、彼女が47歳になった年のお正月、彼女が母親の顔を見に実家に戻ると、部屋には大量の健康グッズ・ダイエット用品が散乱していたのです。
老後のお金はいくら必要なのか
少し脇道にそれますが、一時、老後資金2000万円問題が世間では話題になりました。実際の老後に必要なお金は、ざっくりと次のように計算することができます。
たとえば予定寿命を90歳、退職年齢を70歳とすると、差し引き20年です。舞さんの年収400万円なら年金額は今のところ年間170万円ほどなので、年間の生活費が300万円ならば、その差額は130万円となります。
20年×130万円で2600万円となり、これに介護費用として400万円を見積もれば3000万円です。この金額を、退職する70歳までに準備するのが基本となります。
47歳の舞さんが70歳までの23年間で3000万円を準備するとなると、3000万円÷23年で、年130万円、月10万円少々の貯金が必要です。60歳の定年後は仕事を続けても収入が減る可能性が高い点も考慮すると、それまでは、よりたくさんの貯金をしておく必要があるともいえます。
なお、充分な金銭を準備するのが厳しい場合は、収入か支出を見直すことが必要です。
つまり舞さんの場合は、遺産の半分2500万円をもらうことで、自分の貯金と合わせて老後は安心になりそうな計算になるのですが…。
続きは【後編】「42歳女性が帰省して絶望…母親が5年で3000万円も使った『驚愕のワケ』」でお伝えします。