超名門大学で「大規模なストライキ」を始めたアメリカの若者…そのウラに見える「Z世代的価値観」
「Z世代」とは何か。
彼ら、彼女らの価値観をはぐくんだ社会的な背景とは何なのか。
こうした問いと格闘し、大きな話題を呼んでいる『世界と私のA to Z』。
著者で、Z世代当事者でもある竹田ダニエル氏が、いままさにアメリカで起きている「仕事に関する革命」を取り上げながら、Z世代について考える。
Striking
2022年の11月、全米の教育業界を変える出来事が起きている。カリフォルニア大学のUCシステム(UCLA=カリフォルニア大学ロサンゼルス校、UCSD=カリフォルニア大学サンディエゴ校、UC Riverside =カリフォルニア大学リバーサイド校など、カリフォルニア州内の10大学を総称した州立大学のグループ)に所属する、組合メンバーの98%がストライキに賛成。
4万8000人の大学院生とポスドクたちが、10キャンパス全てで、アカデミアの労働者ではアメリカ史上最大とも言われるストライキを行っている。インフレに全く見合わない低賃金と、いわばやりがい搾取と言える劣悪な労働環境を変えるべく、革命を起こしたのである。
その賃金は貧困ラインギリギリのアンフェアな契約となっており、長い間このストライキの必要性が提起されてきた。労働者たちは労働組合(Union)に守られ、このストライキも正式なものとして法的に認められている。
アメリカの多くの大学の場合(特にUCの場合)、大学院生はGSI(Graduate Student Instructor)と呼ばれるTA(Teaching Assistant=大学教員や授業のサポート)の仕事か、GSR(Graduate Student Researcher)と呼ばれる研究の仕事を名目に収入を得て、生計を立てている。
研究をこなすのに加えて、論文を書いたり、データ収集をしたり、補助金申請のためのプロポーザルを書いたり、GSIの場合は学部生の宿題の添削や試験監督など、フルタイム以上の労働を強いられている。