「気球問題」でやり合う米中の裏で、台湾野党・国民党が見せた「政権奪還」に向けた動き

「気球問題」の波紋

気球問題が、米中関係に大きな影を落としている。先週のこのコラムで詳述したように、2月4日(アメリカ時間)にアメリカが撃墜した気球については、米中で主張が大きく食い違っている。

中国側は「中国から飛んだ気球」であることは認めたものの、「気象観測の目的で民間企業が飛ばしたものが軌道をそれてアメリカへ行ってしまった」という主張を変えていない。それどころか、アメリカが撃墜したことに逆切れして、「(報復の)権利行使を保留する」としている。

一方、アメリカ側は、「民間用ならなぜ事前に連絡をしないのだ」と、正論で反論しつつ、回収した機材の分析を急いでいる。

Gettyimages

そんな中、2月10日に再びアメリカ上空を「物体」が飛び、アメリカ軍が撃墜。11日には、今度はカナダ上空を別の「物体」が飛び、撃墜した。12日夜にも、ミシガン州上空6kmを飛ぶ「8角形の物体」を撃墜した。一体、何がどうなっているのか?

先週のこのコラムでも指摘したが、最も注意しなければならないのは、気球問題がきっかけとなって、「台湾有事」に火がつくことだ。周知のように、気球問題が原因で、2月5日に北京を訪問予定だったアントニー・ブリンケン米国務長官が、訪問を取りやめた。訪問の主要目的の一つが、台湾問題を鎮静化させることだった。

 

1月3日に始まった連邦議会下院では、15回もの投票の末、共和党のケビン・マッカーシー議員が議長に選出された。CCTV(中国中央広播電視総台)は、毎回の決議で議場が落胆する様子を、これでもかというほど放映していた。

何と言っても、マッカーシー議長は「嫌中親台」筆頭のような議員だからだ。実際、早くも1月23日には、米ネットメディアのパンチボウルニュースが、「今春に訪台計画」と報じた。

マッカーシー下院議長はしばらく沈黙していた。だが、2月1日になって記者団に、「私がいつどこへ行くか、中国に指図される筋合いはない」と発言。自身の台湾訪問計画を否定しなかった。

昨年8月2日に前任のナンシー・ペロシ米下院議長が訪台した際には、中国が同月4日から10日まで、台湾周辺で大規模な軍事演習を強行。台湾海峡が一触即発となったのは、まだ記憶に新しい。

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