2023.02.25
アインシュタインが考え抜いた「特殊相対性理論」って結局、どんな理論なの? わかりやすくお伝えします
「宇宙検閲官仮説」
なんとも不可思議で魅惑的な響きです。この文字の並びを見ているだけで、つぎつぎと疑問が湧いてきます。
宇宙を検閲する? 誰が? 何を? いったいどうやって? なぜ宇宙に「検閲官」がいるなんていう、いっけん突飛に見える仮説が提示されたのか?
ここでは、この仮説の前提となる、かの有名な「相対性理論」について、大阪工業大学教授の真貝寿明さんがわかりやすくご説明します。
(この記事は、真貝寿明『宇宙検閲官仮説』を抜粋・編集したものです)
特殊相対性理論
相対性理論は2つの理論からできています。特殊相対性理論(1905年)と、一般相対性理論(1915年)で、どちらもアインシュタインが一人で完成させたものです。ふつう、物理の理論は多くの物理学者が実験や観測の結果をもとに、さまざまな考えや予言を提示し、それらが淘汰されて完成へ向かいますが、相対性理論は別で、一人の物理学者が「もっとも簡単な数式で自然法則は記述されるはずだ」という信念のもとに導出したものです。
相対性理論はニュートンが導いた力学を拡張した理論です(図1‐9〔外部配信先で記事をお読みの方は、本サイトをご覧ください〕)。それぞれを順に紹介しましょう。

特殊相対性理論(発表当時は「相対性原理」)は、(光の速さに近いほどの)ものすごく速く運動する物体に対する物理法則です。それは、電磁気学の法則(マクスウェル方程式)に登場する光速度はどの座標系から測った光速度なのか、という当時の物理学の謎を解決するものでした。
速度は「誰から測ったか」によって相対的に変わりますから、一般的な法則に登場するのは不思議なことなのです(加速度は、慣性座標系*1どうしでは同じ値になりますから、一般的な法則に登場しても問題ないのです)。
*1 慣性座標系とは、慣性の法則が成り立つ座標系のことです。すなわち、力がはたらいていない物体は等速直線運動していると観測できる座標系です。