放送終了後、SNSが盛り上がるドラマがある。それは、『忍者に結婚は難しい』(フジテレビ系木22:00~)だ。
これは、主人公の夫婦は現代社会に生きる“忍者の末裔”という物語。妻・草刈蛍(菜々緒)は実力主義の甲賀忍者、夫・悟郎(鈴木伸之)は超保守的な伊賀忍者で、甲賀と伊賀はそれぞれ野党と与党を支える意味でも敵対している。
蛍も悟郎はお互いの正体を知らず結婚し2年以上が経過するも、伊賀の伝統ゆえか、昭和的な価値観で家事がまったくできない夫と、リベラルな妻の間では争いが絶えない。

原作は『ルパンの娘』シリーズほかユーモアミステリー作品で知られる横関大の同名小説作品。脚本は『東京タラレバ娘』『レンアイ漫画家』などの松田裕子だ。このコンビならでは、「夫婦あるある」の家族ドラマであり、「秘密を抱えた夫婦の行く末」という恋愛ドラマであり、そして敵対する政党につく忍者として働き、殺人事件にも巻き込まれているミステリードラマでもあるのだ。

初回の放送後は、Twitterには「#忍者に結婚は難しい」のハッシュタグとともに、鈴木伸之さん演じるダメ夫への怒り、菜々緒さん演じる妻への共感の声が溢れた。また2月9日放送の第6話では、互いに甲賀と伊賀の忍者であることに気づき、「知ってしまったからには」と家の中で戦うアクションがさく裂。壮絶な闘いののち、互いへの想いもこみ上げ、ラストに激しいキスシーンが。SNSでは「キスシーンが素敵すぎる」「アクションのあとのあれって、ブラピ&アンジーみたい!」「たまらん」と大いに盛り上がった。

話題となった6話のアクションシーン (c)フジテレビ
激しいアクションのあとのキュンも話題に…(c)フジテレビ

現代の夫婦の多くは、複雑な問題を抱えながら「かろうじて」維持しているのではないか。そして秘密がわかったときこそ、新たな夫婦関係が強固なものになるか、壊れるか、はっきりするのではないか。そこで、夫婦問題にライターの沢木文さんに、ドラマ『忍者に結婚は難しい』にちなんだ夫婦のすれ違いエピソードについて紹介していただくシリーズ。前回は借金を妻に隠しており、助けようと手を差し伸べた妻に実は嘘ばかりつきまくっていたことが発覚した夫婦についてご紹介した。

今回は、絶対夫にバレてはいけないとある秘密を抱えていた妻の話をお伝えする。
以下、沢木さんの解説。

 

蛍と悟郎の「リビング対決」のよう…

2月9日に放送された6話で、蛍と悟郎は互いに“正体は忍者”と認識します。悟郎が投げた棒手裏剣を蛍は素早くキャッチ。それをきっかけに激しい戦闘を開始する夫婦は、お互いの能力の高さに驚きながら、リビングで互角に戦いました。
このシーンを見ながら、現実の夫婦によくある話として思いついたのは、コロナ禍のステイホームで急増した「リビングで妻の仕事内容がバレる」ということと、それに伴う夫婦関係の変化です。

1年前に離婚した朱里さん(42歳)は「結婚10年目の2020年4月、夫(43歳)に隠していた仕事内容と年収がバレたことで、1年以上の別居を経て、半年前に離婚が成立しました」と語ります。9歳の息子の親権は、朱里さんが得ました。

「離婚のきっかけは、リモートワークで、私が管理職だってバレちゃったこと。私は外資系のメーカーに総合職として新卒から勤務しています。コロナ禍までは夫に“アシスタント職だよ”と言っていたんです」

バリバリのキャリア女性が、その経歴を隠して婚活…Photo by iStock