2023.03.12

日本のマンガ、じつはフランスで「高尚な芸術」として受け入れられていることをご存じですか?

日本漫画の快進撃

フランスにおける日本の漫画市場はコロナ禍を経て、現在も成長を続けている。日本に次いで世界第2位の規模を誇るフランスのマンガ市場は、この10年間で4倍に膨らんだ。2022年には金額にして 3億8100万ユーロ(約530億円)の規模に達している。

つい先日、フランスではヨーロッパ最大級のアングレーム国際漫画祭が開催され、そこでも日本の漫画が多くの人を惹きつけ、大盛況だったという。

私は日本の漫画の快進撃を2010年代から見つめ続けてきた。フランスにある日本の漫画を翻訳出版する会社に入社したのが2013年だったが、その時に強く感じたことの一つは、フランスでは日本の漫画が、一種の「高尚な文化」として受け止められつつあるとのではということだった。

日本での漫画の位置付けは一般的に、大衆文化、娯楽、エンタメ、という感じではないだろうか。では、フランスではどうだろうか。もちろん、ワンピースは毎週売り上げランキングでは一位に輝き、日本文化の祭典「ジャパン・エキスポ」は、例年コスプレをする若者や家族連れで大賑わいだ。

このように、日本の漫画はフランスにおいても大流行りしているという感覚は大いにあるのだが、一方で私が住んでいた小さな町の図書館にも漫画は当たり前のように並び、そこで親が子どもに漫画を勧めている姿もあった。日本と同じように娯楽のひとつとして広く浸透しているという見方もできる一方で、もうひとつ、少し特殊な観点からの受容があると感じるのだ。

フランスの書店 Photo by gettyimages
 

それは、一言で言えば、日本の漫画が一種の「芸術」として受容されているということである。

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