2023.02.19

70代、“おひとりさま女性”の大誤算…安心して死ねるはずの「終活」で大後悔した「意外すぎる落とし穴」

太田垣 章子 プロフィール

「年に1度の年賀状で、どうやって私が亡くなったことをこの人は知るのかしら……」

真智子さんは再び急にいろんなことが不安になり、私の事務所が開催しているセミナーに来られました。そこで現実を知り、やっと終活が終わったと思っていたのに、また振り出しに戻ったと言います。

なぜこのようなことが起こってしまったのでしょうか? まず死後事務委任契約を利用しようという方々の事情を、具体的に考えていきましょう。死後事務委任契約をしたいという方は、

(1)親族がいて、いざという時には頼れるのだが事務的な面倒をかけたくない
(2)誰も頼れる親族がいない・親族を頼りたくない

この2つのケースでは、備える策がまったく違います。

(1)の場合には、自身が死後事務委任契約を締結していることを親族に伝え、自分に万が一のことがあれば受任者にいち早く伝えてもらうようにしましょう。そうすれば受任者は、依頼を受けた通りに遂行してくれます。

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問題は(2)の場合です。この場合には、亡くなったことを誰が受任者に知らせてくれるのでしょうか。見守り器具をつければいいと言う人もいますが、これもなかなか現実では難しいところです。見守り器具のアラートを誰が受けてくれるのかという問題や、警備会社を利用したとしても、警備会社は事の詳細を受任者に伝えてはくれません。

いずれも個人情報保護法が厳しく、本人が連絡できなければ、もしもの際にその状態を受任者に伝えてくれる人がいません。

また(2)の場合に、死後事務委任を遂行する(亡くなる)時には、その前に必ず何らかの事が起こっています。

たとえば委任者が認知症になる、病気になる、倒れる、救急搬送される、入院する、施設に入る……などなど。これらをすべて自分で対応できればいいのですが、基本はできません。そのためそのケアをしてくれる存在が必要なのです。

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