2023.02.24

大河ドラマ『どうする家康』で注目すべきは「家臣」…天下統一を支えた「チーム家康」の凄すぎる特徴

多くの優秀な部下をまとめ上げた徳川家康の組織マネジメントは、今も高く評価されている。なぜ家康は最強の家臣団を組織し、天下を取れたのか。鉄の結束を誇った「チーム家康」の秘密に迫る。

頼りない主君でも

放送中のNHK大河ドラマ『どうする家康』は、従来の作品とやや趣が違う。主人公である徳川家康(松本潤)は、オロオロとよくうろたえる。そのぶん右往左往する主君の周囲を固める家臣たちは多士済々で、それぞれのキャラクターが明確に描かれている。

彼らを次第にまとめ上げ、戦国の覇者となっていく家康の組織運営術は、現代に通じる多くのヒントが隠れているのではないだろうか。

「私は大学教授として長らく戦国史の研究を行っていましたが、'03年に病となった父の後を受けて豊島岡女子学園の校長を務めることになりました。

中高の教員の経験がなかったので、学校の運営に関しては歴史に学んだことを頼りにするしかなかった。その時、もっとも役に立ったのが徳川家康のリーダーシップだったのです」

こう振り返るのは豊島岡女子学園中学校・高等学校の元理事長である二木謙一氏だ。

徳川家康の家臣たち「チーム家康」の最大の特徴は、多様性、つまりダイバーシティだ。歴史学者で、『どうする家康』の監修も務める小和田哲男氏が解説する。

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「家康が生涯にわたり最も信頼を寄せたのが酒井忠次です。彼は家康が今川家の人質となっていた時代、保護者として家康を見守り、家臣団のまとめ役も担いました」

その次に信頼を置いたのは、本多忠勝や榊原康政といった戦が得意だった家臣たちだ。忠勝は一生で57回の戦に出て、一度の傷も負わなかった。榊原は兵法家で、戦術を立てるのに長けていた。

「下級武士200人を忍びとして束ねた伊賀者の服部半蔵(正成)も、諜報役や治安維持のために役立てました」(三重大学人文学部准教授の高尾善希氏)

個々の特徴を活かし、身分に拠らず適材適所のマネジメントに徹した家康の姿勢が見える。

石川数正のような、代々家に仕えてきた家臣が多数を占めていたことも、チーム家康の特徴だろう。三河という小国の主だった徳川(松平)家に仕え、同じ苦労を共有してきた家臣らの結束は、少々のことでは揺るがなかった。

1590年の江戸城入城時、家康の家臣団における同郷出身者の割合は、なんと約75%にも上っていた。本能寺の変の直前の信長は34%、賤ヶ岳合戦後の秀吉は29%にとどまるため、驚異的な数字と言っていい。

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