米中「気球騒動」はどう転ぶのか…ロシア・ウクライナ戦争1年を前に世界が抱える「もう一つの危機」

アメリカ上空に侵入して撃墜された中国の「気球」を巡って、この2週間あまりというもの、アメリカと中国が、一触即発となった。ロシアによるウクライナ侵攻から24日で一年を迎える中、世界は固唾を呑んで「もう一つの危機」を見守った。
米中両国それぞれの思惑と今後の米中関係について、現代ビジネスコラムニストで中国ウオッチャーの近藤大介と、著名なアメリカウォッチャーでロールシャッハ・アドバイザリー代表取締役のジョセフ・クラフト氏が、徹底討論した。(撮影:西崎進也)

「気球騒動」アメリカ側のホンネに迫る

近藤: クラフトさんとは同世代ですが、いつも大変鋭いアメリカ分析に敬服しております。先日、岸田文雄内閣のある高官に話を聞いた際、「最近私が得たアメリカ情報によれば……」と、もったいを付けて話し出した。これは「クラフト情報」に違いないと、ピンときました(笑)。

クラフト: そんなことないと思いますよ(笑)。私は日本に根を生やして仕事していますので、多方面の方々と交流を持っています。いまはソニーやSBI FXトレードの社外取締役も務めています。

近藤: クラフトさんは、たしか父親がアメリカ人で、母親が日本人ですよね。

クラフト: そうです。父が横須賀のアメリカ海軍基地に勤務していたので、日本生まれです。映画『三丁目の夕日』の世界で育ちました(笑)。中学はアメリカ、高校は日本、大学はUC Berkeleyです。

卒業後、モルガン・スタンレーに入社し、いくつかの会社を経て、2015年に自分の会社を立ち上げました。その間、ずっと東京に拠点を置いています。

近藤: クラフトさんのすごさは、何と言ってもアメリカの政治や安全保障の最新事情に裏打ちされた経済分析ですよね。一般に経済の専門家というのは、目先の統計データばかり追いかけている人が多い。ところがクラフトさんの場合、アメリカ政治と安全保障の日々の動向を押さえながら、地政学的に経済を見ていくから、非常に奥深い。

 

クラフト: ありがとうございます。「ファーウェイ排除」など昨今のアメリカの対中強硬政策は、日本のみならず世界経済に大きな影響を及ぼしています。日本の経営者は、アメリカの政治及び安全保障動向を注意深く見ていく必要があると思います。

近藤: そんな中で、今月に入って突如として起こった中国の「気球騒動」。今日はアメリカ側のホンネの部分を教えて下さい。

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