入塾待ちが絶えない英語塾・J PREPが誕生して、2023年で丸10年が経つ。世界トップクラスの教育機関に身を置いてきた代表の斉藤淳さんは、“使える”英語を話せる日本人の少なさに危機感を抱いていた。開塾して10年、日本の英語教育はどう変わっただろうか。
幼少期からの英語学習で陥りがちな間違い、英語を学ぶ本当の目的とはなんだろう。英語教育に留まらず、これからの日本の教育のあり方についても一石を投じる斉藤さん。前編【幼少期の英語教育は「入り口」が大事…人気英語塾代表が語る「世界に通用する英語」習得法】に続き、英語学習から広がる子どもたちの未来を見据えた話を聞いた。
知的な英語を使えるか
「私が英語を教え始めた三十数年前に比べれば、今の子どもたちの英語は上手だと思います。しかし、世界で活躍するための道具として英語が使えるようになるには、自発的に発言をして意思疎通できるのか、知的な会話ができるか、ということが大事になってきます。またこうした活動の基礎に、読解力や作文力があることも忘れて欲しくないです」
2020年度から改訂された学習指導要領において、小学校3・4年生は「聞く・話す」を通じた「外国語活動」が週1程度でスタートしている。小学校5・6年では「聞く・話す・読む・書く」の4技能を入れ、週2コマ程度の教科としての「英語」が必修化された。
J PREPはこの「聞く・読む・話す・書く」の4技能に加え、「考える」を含んだ5技能の習得を目指している。考える力を育てるプロセスにはどのようなものがあるのだろうか。
「発音をベースに英語学習を始め、絵本などで文字と音の関係を理解してきた子達には、次の段階としてたくさん本を読んでほしい。外国語を習得する上で、読む能力を獲得すること、読むことでインプットの量を確保することはとっても重要なことなんです」

「従来の日本の英語教育は読み書き偏重だ、読ませるだけではスピーキング力が育っていかないと批判されてきましたが、それは間違い。検定試験や大学入試の問題文だけではなく、英語で書かれた本を普通に読む経験を積むこと。これが、大きな力につながります。伝記、小説、なんでも構いません。読書によるインプットなしに、知的な英語を使えるようにはならないのです」
日本には読書の重要性を強調する教育関係者がまだまだ少ないと、斉藤さんは話す。
「J PREPでは、塾の校舎には必ずライブラリーを作っています。生徒にもスタッフにも、たくさん本を読んで欲しい。進路指導で生徒と面談する時も本を勧めることが多いですね。物理を勉強したい、数学が好き、経済学を学びたいという生徒に、『アメリカの高校生はこれくらいのものを勉強しているから。読んでみて』と。本との出会いが、興味の入り口になればいいと思っています」