2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、いまもなお続いている。侵攻開始からちょうど1年の今日、時事YouTuberのたかまつななさんが昨年8月に現地取材した内容を2本に分けてお届けする。
本記事では、ウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊のイルピンで市議会議員を努めるエフゲニヤさん(40歳)に聞いた、ロシア軍による占領から解放されて半年経った状況、そしてウクライナ女性たちがロシア軍兵士などから受けた性的暴行の実態について伝える。イルピンは侵攻当初、首都を巡る攻防の激戦地となった場所でもある。

本当に起こるとは、信じられなかった
――エフゲニヤさんはどんなお仕事をされているのですか。
エフゲニヤ:イルピン市議会の文化部の部長として、この街で文化や芸術などに関わる仕事をしています。
――イルピンはウクライナ侵攻が始まってから間もなく、ひと月ほどロシア軍の占領下にありました。当時はどのような活動を?
エフゲニヤ:多くのウクライナ人と同じように、義勇軍に入りました。そこで、住民の避難を支援したり、食品や衛生用品の供給に関する情報調整などを第一に行っていました。占領されてしまった後は街に通信手段がなくなり、お店が全て閉まってしまったため、住民たちは食べ物などの生活に必要な物資を手に入れることができなくなってしまったんです。
だから、私たちは必要な物資をこの街に運び、助けを必要としている人に配っていました。今はもともとの職務に戻りましたが、傍でボランティア活動も継続しています。

――ロシア軍は2022年の3月末にイルピンから撤収しています。それから半年近く(2022年8月時点)が経とうとしていますが、いま、街はどのような状況なのでしょうか?
エフゲニヤ:以前の状態に戻りつつあります。いま私たちは、破壊されてしまった文化施設の復旧に取り組んでいます。芸術家の方たちの協力を得ながら、さまざまなクリエイティブなイベントを開催しています。これには、起こったつらい出来事から人々の気持ちを紛らわせてあげたいという狙いがあります。
またそれと同時に、人々がここで起こってしまった悲劇を忘れないための情報空間として未来に残していきたいという思いもあります。
