2023.02.27
# 中国
中国で切羽詰まった高齢者たちが「大規模なデモ」へ…そのウラにある中国経済の「抜き差しならない現実」
中国の新たな危機
2月、中国の湖北省武漢市などで、医療保険改革に抗議する高齢者らが大規模なデモを起こした。
それは、今後の中国経済の展開を予想するうえでそれなりの重要性を持っている。
ここへ来て、インフラ投資などを支えた地方政府の財政支出余力は、急速に低下しているようだ。

固定資産への投資積み増しによって、景気回復を目指す中国経済にとって無視できない阻害要因と考えられる。
最近、中国経済の先行きを楽観的に考える主要投資家は多い。
昨年12月上旬以降、株式市場ではゼロコロナ政策の早期終了期待が高まり、中国の株価は上昇した。
それにつられるようにしてアジア新興国の株式市場も上昇した。
鉱山やエネルギー資源を爆買いしてきた中国の景気回復期待は、資源国通貨の反発にも一役買った。
ただ、中国経済に関するデータを確認すると、期待は先行しすぎているように見える。
規制緩和にもかかわらず、不動産市況が反転する兆しも今のところ明確にはなっていない。
むしろ、都市と農村の戸籍の違いに起因する格差問題などを背景に社会心理は一段と不安定化する展開は排除できない。
過去の回復局面に比べ、今後の中国経済の持ち直しペースが緩慢になる恐れは高い。