著者に聞く 「科学的なトレーニングをしたい!」
第7回――『1日4分 世界標準の科学的トレーニング』の著者 田畑 泉 さん(後編)
昨今の科学技術の進歩によって、スポーツ選手の競技力向上のための研究も進んでいる。そのことによって、スポーツ選手のトレーニングはどのように変わるのか。前編〈「1日4分間、週2回」で最大の効果…「日本の研究者」が考案した「スゴすぎるトレーニング」〉に続き、スポーツ科学の研究者田畑泉さん(立命館大学スポーツ健康科学部教授)に聞いた。
※本記事末尾でインタビュー動画へご案内しています。
正しいトレーニングを伝えたい
――研究者である田畑先生が本を書いたりしてトレーニングの紹介をしているのはどうしてですか。
田畑:研究者がすべきことだからです。
タバタトレーニングはもともと、スピードスケートのトレーニングとして始まり、オリンピックを目指すような選手が取り入れました。ところが、タバタトレーニングのトレンドを支えたのは一般の方たちでした。
最初は1996年に出した論文を読んだ人がやり始めたのですが、それを見聞きした人達の間で、「20秒運動して10秒休めばいいんだ」「面白い」という形で広がるうちに、論文とは全然違うことがやられるようになってしまいました。
これはやっぱりちゃんと発信して効果的な形に戻さなければいけないなと思って、この『1日4分 世界標準の科学的トレーニング』という本を書きました。
『1日4分 世界標準の科学的トレーニング』でもご紹介している、タバタトレーニングの一例(スケーターズランジ)

「健康増進」と「競技力向上」との共通点
―― 一般の人が健康になるためにするウォーキングと、スポーツ選手の競技力向上のためのトレーニングは、運動という意味では同じことなのですか。
田畑:離れているといえば離れているし、同じ点もあります。
スポーツ選手にとっては、例えば体力は高ければいいわけですね。一方一般の人はまあまあのところまであればいいので、ちょっと違います。
ただ、どうやって体力を高めるのかというと、スポーツ選手がやることと一般の人がやることは同じと言えば同じです。