結婚をちらつかせて女遊び
自衛隊には、かつて存在した高卒後2年間で中堅下士官となるコースで入隊した。2年間の教育期間中こそ、「休暇時にキャバクラと風俗店をはしごする」程度の遊びを楽しみにする大人しめの生活を送っていたものの、晴れて教育期間が終了。一人前の自衛官となってからは、そうしたカネが介在するサービス、疑似恋愛にむなしさを感じるようになった。
「でも、自衛官、とくに海上自衛官って、やはり艦での勤務が多いわけです。1週間、2週間と海上にいて連絡も取れません。だから、気になった女性を短い時間で自分のモノにする必要があります。なので短い時間でいかに自分が相手に対して本気かをアピールしなければなりません」
その手段が結婚だった。高校時代からの友人の知り合い、職場の同僚、飲食店の店員などなど、知り合ってデートに誘った女性には、ヒロユキさんが真っ先に伝えるのは、ズバリ、結婚の意思である。
「知り合う、そして最初のデート、ふたりきりで会ってる訳です。この段階で本気だ、結婚を考えているといえば、結婚願望の強い女性であれば、また次のデートもありますよね」

こうして気になった女性を片っ端からデートに誘い、結婚願望を口にした甲斐あってか、ヒロユキさんは20歳の時、一回目の結婚をする。
「女性に対して独占欲が強いんです。だから結婚しなければ嫌なんですよ」
問題はその独占欲がずっと続かないことだ。結婚し、日々を共にするようになると、出会った頃のときめきはいつしか色褪せ、生活感が滲み出てくる。いつまでも男と女ではいられない。夫と妻、子どもができれば父と母という役割も出てくる。
「ぶっちゃけ、俺、夫とか父とか、そういうのはいらないんですよ」
結婚はしたい。でも家庭には興味が湧かない。それ以上に、一度、婚姻すると、ヒロユキさん曰く、「どこか相手に対して気が抜けてしまう」のだ。